ディズニーの新作映画、実写版『ムーラン』の公開までの道のりは、映画のストーリーなみに壮大なものになっている。
当初、2018年に全米公開する予定が2020年に延期されたこの映画は、製作者の下す決断全てにおいて、批判を受けているようだ。アニメ版で収録されていた楽曲の削除やキャラクター変更、更にはキャストのSNSへの投稿までもが批判の的となっている。
監督のニキ・カーロ氏はファンのこの反応に、「『ムーラン』の観客がどれだけ情熱的かを思い出させてくれました。それは作品を高めてくれました。作品は彼らが期待するものとは違うかもしれないけれど、それでも彼らが新たな形で気に入ってくれるものを届けたいと思っています」とハフポストUS版に語った。
「観客が大好きだった映画を、新たに、違う形で経験することになるでしょう」
批判の対象となった問題の1つは、キャラクターのリー・シャン隊長。アニメ版ではムーランの隊長であり、恋の相手となる役だが、実写版では登場せず、代わりにその役をトゥン司令官と、軍隊の同僚であるチェン・ホンフイという2人に分けている。
カーロ監督は、2017年ごろに契約を交わした時点ですでに、リー・シャンの役の変更については脚本に記載されていたという。
同映画のプロデューサー、ジェイソン・リード氏は最近、「ヒロインが隊長と恋仲になることは適切ではないと感じた」と話しているが、カーロ監督もその点を強調した。
「これは正しい決断です。特にこの#MeTooの時代には。ムーランが隊長と何らかのロマンス関係を持つことに、とても違和感を感じました」
そして、リー・シャンのキャラクターを2役に分けたことの利点について、トゥン司令官が、「ムーランが自身の力を理解し成長する過程」において、大きな役割を果たしている、と加えた。
カーロ監督は、「新型コロナウイルスに影響を受けている国々の方たち、苦しんでいる人たちのことを考えると、心が痛みます。特に中国に関しては。いつかこの映画を届けられるのを楽しみにしています」と語った。
このストーリーは、『ムーラン』の「全く新しいバージョン」だとカーロ監督は話すが、アニメ版での「象徴的なシーン」も期待できるという。
今までアクション映画や闘争シーンが多い映画を手がけたことのなかったカーロ監督は、それらのシーンを深く研究したといい、特に人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローン」の戦闘シーンはよく観察したという。
最後に、カーロ監督はこれから映画を観る観客に、「この女性からインスピレーションを受けてほしい。感動し、もちろん楽しんでもらう事もそうですが、彼女が象徴している、本当の力は、本来の自分であるときに発揮されると理解すること...それが、この実写版『ムーラン』から感じられることだと思います」
日本での実写版『ムーラン』の公開は4月17日を予定されていたが、新型コロナウイルスの感染状況と予防対策のため、5月22日に延期された。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集・加筆しました。