天皇陛下が2月23日、60歳の誕生日を迎えられた。21日に開かれた記者会見では、即位から10カ月が経った現在の心境や、東京オリンピック・パラリンピックにかける期待、そして在日外国人やLGBTに関する思いについても言及された。
新型コロナ「早期に収まることを願っております」
2019年5月に皇位を継承した天皇陛下。
会見では、「天皇の一つ一つの公務の重みと、それらを行うことの大切さを感じております」と即位後の10カ月間を振り返り、「常に私の傍らに寄り添い、相談に乗り、公務に共に取り組みながら支えてくれている皇后雅子に感謝しております」と述べた。
現在日本国内で感染が広がっている新型コロナウイルスについても言及。「罹患した方々と御家族にお見舞いを申し上げます」とし、「感染の拡大ができるだけ早期に収まることを願っております」と語った。
「多様性に対して、寛容の心を持って受け入れていかなければいけない」
会見では、子どもの貧困や日本に住む外国人、マイノリティーについて言及する一幕もあった。
近年増加している子どもたちの貧困や虐待の問題には、「心が痛みます」と思いを吐露。「次世代を担う子供たちが健やかに育っていくことを願ってやみません」と語った。
関連質問では、在日外国人や外国にルーツを持つ日本人、障害を持つ人やLGBTなどの性的マイノリティーへの思いについて質問が及んだ。
天皇陛下は、社会的弱者に心を寄せてきた上皇さま、上皇后さまの姿を側で見てきたと話し、「そういった多様性に対して、私たちは寛容の心を持って受け入れていかなければいけないと常に思ってきました」と回答。「引き続きそのような方々に対する理解も深めていきたいと思っております」と答えた。
<質問>
(先ほどの質問で、)陛下は変化の激しい時代だというふうに仰いました。この平成の初期と比較しますと、外国人労働者を始め、在日外国人の方々の増加、また外国にルーツを持つ日本人の増加が挙げられると思います。また、様々な障害を持たれた方々やLGBTといった性的マイノリティの人々が掲げる問題についても顕在化したと言えると思います。上皇上皇后両陛下は、社会の片隅に暮らす人々に対して光を当ててこられましたが、新たな国及び国民の象徴となられた陛下は、このような人々に対してどのように寄り添い、光を当てていきたいというふうにお考えでしょうか。
<天皇陛下>
上皇上皇后両陛下が、今お話のあったような方々に対しても、心を寄せてこられたことを私もよく存じておりますし、そのような上皇上皇后両陛下のなさりようをお側で拝見しながら、私も、本当にこの世界にはいろいろな方がおられ、そういった多様性に対して、私たちは寛容の心を持って受け入れていかなければいけないと常に思ってきました。
私も引き続きそのような方々に対する理解も深めていきたいと思っております。
会見の内容は、宮内庁の公式サイトで全文を確認できる。