選択的夫婦別姓の実現を目指す市民グループ「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」は2月14日、衆議院第二議員会館で超党派の国会議員に向けた勉強会を開き、与野党の複数の国会議員が参加した。
勉強会の後、事実婚家庭(両親が別姓)で育った大学生と高校生が、各党の代表らに法改正を求める要望書を手渡した。
「望まない改姓をせずに法的な家族になれる選択肢をください」
両親が別姓でいるための事実婚をしているという大学生と高校生が、各党の代表らに法改正を求める要望書を手渡した。
要望書では、「両親がそれぞれの名字であることが『普通』という感覚で育ち、それで今まで何も困ることはありませんでした」とした一方で、「夫婦が別姓であるだけで国に法的な家族と認められない今の状態に、私たちはとても不安を感じています」とした。
「私たち自身がいつか愛する人と結婚する時も、そして私たちの子ども世代にも、この日本で、望まない改姓をせずに法的な家族になれる選択肢をください」
要望書は、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、共産党の志位和夫委員長らの党の代表者のほか、自民党の木村弥生衆院議員、公明党の石井啓一衆院議員らが受け取った。
「日本中で起きている精神的・経済的苦痛を早く取り除いて」
勉強会では、小池信行元法務省民事局参事官の基調講演や、選択的夫婦別姓をめぐる訴訟の関係者らからの現状報告があった。
夫婦別姓が選択できない戸籍法の規定は違憲だとして、国に慰謝料などを求める訴えをしている「サイボウズ」の青野慶久社長が裁判の経緯などを説明した。
また、青野さんは「青野は旧姓」であり、戸籍は妻側の氏になっているため、日々の仕事の中でハンコを使い分けたり、海外出張で現地メンバーが青野名で予約してくれたホテルに宿泊できないリスクがあったりと、業務上の不便が起きていることを説明した。
青野さんは「国会議員のみなさまに早く立法していただいて、日本中で起きている精神的・経済的苦痛を早く取り除いていただきたい」と訴えた。
「研究者としてのキャリアを途切れさせることになる」
事実婚当事者らはリレートークで、「夫婦同姓」を強いられる法律婚を避けて事実婚を選んでいる理由や、直面している悩みなどを説明した。
■会場で披露された当事者の声の一部(要旨)
・妻が研究者。氏が変わることは、研究者としてのキャリアを途切れさせることになる。夫の自分も、思い入れのある氏を変更したくない。
・結婚により改姓を強いられる意味が分からない。事実婚26年目になるが、老後に病院などで重要な意思決定ができない可能性などに不安がある。安心して老後を迎える為に法律婚をさせて欲しい。
・互いに築いてきた実績や学位があるため、改姓したくない。夫婦共に国内外で活躍しながら安心して暮らしたい。
・事実婚を選んだことを理由に、親がいまだに『正式な夫婦』と認めてくれない。事実婚も法律婚の仲間に入れて欲しい。
・子どもの時に両親の離婚により名字が変わった。たまたま出会った夫の名字は昔の名字と同じだった。思い出したくない過去もあり、「私のままで生きたい」と思った。一方、夫側の親は息子が名字を変えることに抵抗があり、事実婚となった。
また、事実婚家庭で育った大学生は「親が別姓であることで自分の家族が『普通ではない』と感じたり、姓が異なる方の親と距離を感じたりしたことは、小さい頃から全くありませんでした」などと自身の経験を話した。