JR東日本が、電車内での痴漢行為を防止するため、被害者がスマートフォンでの専用アプリを使って車掌に通報し、車内放送で注意喚起を行うシステムの開発を進めている。
2月下旬から被害の訴えが多い埼京線で実証実験を行う。同社は「アプリを使うことで、周囲に知らせることのハードルを下げられる」と効果を期待している。
このシステムでは、利用者が乗車の際に専用アプリで方面や乗車位置を登録。痴漢に遭った時にアプリ上で「乗務員に知らせる」を選択すると、車掌のタブレット端末へ通知され、車内放送が行われるという仕組みだ。
同社はこれまで、痴漢防止に向けて女性専用車両や車内防犯カメラの設置などを行ってきたものの「劇的な被害抑止の効果はなかった」(JR東日本広報部)という。
また、車内には「非常ボタン」も設置されているが「車両に1つしかないうえ、目立つ行動をすること自体、被害者にとっては抵抗や恐怖感があるという指摘もあった」(同)ことから、痴漢を訴える際に使用することは現実的ではなかった。
実証実験は、機能や乗客の反応を確認するため、土休日を除く2月下旬から3月中旬の朝7時〜10時の通勤時間帯に大宮駅〜新宿駅間で実施。
同社の社員やモニターがあらかじめ決めたタイミングで試験通報し、乗務員が試験であると伝えた上で、「車内のお客さまより迷惑行為の連絡がありました」「○号車のお客さまより、痴漢の通報がありました」などの放送を行う。
この結果を踏まえて6月以降、痴漢防止効果についての確認を目的とした実証実験も行い、アプリの使い勝手についても検討するという。