NBA界のレジェンド、コービー ブライアント氏が1月26日、突如この世を去った。乗っていたヘリコプターが墜落した事故死だった。
バスケットボールの神様マイケル ジョーダン氏に憧れ、プレーを徹底的に真似て、ネクストジョーダンとも呼ばれたブライアント氏。
そのジョーダン氏本人からも「1on1でコービーには負けるかも」と言わしめた。
コート内外で成し遂げた、ブライアント氏の4つの偉業を振り返る。
① ジョーダンを超えた日
ブライアント氏は、NBA歴代屈指のスコアラーとして、現役時代に得点を量産してきた。 ジョーダン氏をプレーを盗んで、超えるべき存在として、プレーに磨きをかけてきた。
背中を追いかけ続けて、2014年12月14日、ついにその瞬間がやってきた。 ミネソタ ティンバーウルブズ戦で、ジョーダン氏が持つ3万2292得点の記録を上回り、通算得点で歴代3位に上り詰めた。 ブライアント氏はそこから得点を伸ばし、通算3万3643得点(歴代4位)でキャリアを終えた。
② 1試合81得点
得点が代名詞だったブライアント氏は、勝利や得点への貪欲さから、「自分勝手だ」と批判を浴びたこともあった。
それでも自分のスタイルを貫き通したことで、2006年1月22日のトロント ラプターズ戦で、1試合81得点という歴代2位の大記録を樹立した。
その試合は122-104でチームを勝利に導き、 5対5で行われるバスケで、たった1人でチーム総得点の7割近くを叩き出した。
今でも、NBAを語る上で外すことのできない伝説的なゲームとしてファンの記憶に刻まれている。
③ 引退試合で60点
ブライアント氏ほど、劇的な引退試合を迎えたプレイヤーはいない。
キャリア晩年はけがに泣かされたが、2016年に37歳で迎えたこの試合は違った。
序盤から得点を量産し、終始リードされる展開だったが、特に最終4クオーター残り2分半からはブライアント氏の独壇場だった。
1人で17連続得点で、試合をひっくり返し、引退試合を勝利で飾った。 60得点は、NBAでもごく1部のトップ選手しか到達したことのない偉業。引退試合としては、ぶっちぎりの歴代トップだ。
猛毒蛇の一種「ブラックマンバ」の愛称で知られるブライアント氏。試合後にコートでの引退スピーチで残した「マンバ アウト」(マンバは去る)は、バスケファンで知られるオバマ前大統領がホワイトハウスのスピーチで引用するほど、象徴的な言葉となった。
④アカデミー賞の短編アニメ賞を受賞
バスケを離れた後も、彼はアニメーションの世界でも才能を開花させた。
2018年の第90回アカデミー賞で、短編アニメ賞を受賞した。
作品は、現役引退を表明した2015年に書いた「Dear Basketball」というメッセージを元に、アニメーション監督グレン キーン氏と一緒に制作した数分間の映像だった。
ステージ裏でのインタビューで心境を問われると、緊張した面持ちでこう切り出した。
「正直言って、NBAで優勝するよりも気分がいいことです。冗談ではなく、本当にそうなんだ。子どもの頃は、NBAで優勝するのを夢見てきました。そのためにたくさん努力してきました」
「僕が執筆活動を始めた頃に、引退したら何をするのかってたくさんの人に聞かれたんだ。ライターになりたい。作家になりたいんだって答えたんだ。今僕がここにいることが、それを証明してくれたと感じるんだ。考えられないよ」