人類滅亡までの時間を表す「終末時計」。「残り時間」はこれまでどう移り変わってきた?

冷戦下、アメリカとソ連による核開発が過熱していた1953年よりも、2020年は滅亡に近い状態だ。
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人類滅亡までの時間を表す「終末時計」
AFP=時事

人類滅亡まで残り「100秒」。過去70年間で最も短くなっている―。

米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が1月23日に発表した「終末時計」。1947年に発表が始まって以来、初めて2分を切った。米によるイラン核合意の離脱などにより核の脅威が高まっていること、地球温暖化に対する対策の遅れなどが理由だ。

時計の針は、これまでどのように動いてきたのだろうか。

米国とソビエト連邦が核軍拡競争に向かう中、終末時計は「7分前」で始まった。2019年までの最短だった「2分前」まで初めて進んだのは1953年。冷戦下で米国とソ連による核開発が過熱したことなどを受けたものだった。

1960年には米ソの国交回復を受けて「7分前」に、1963年には米、ソ連、イギリスが「部分的核実験禁止条約」を締結したため「12分前」まで戻ったものの、その後は一進一退を続ける。

1980年にはイラン・イラク戦争の開戦などで「7分前」、1984年には軍拡競争の激化で「3分前」に。一方で1988年には米ソの中距離核戦力(INF)全廃条約締結などで「6分前」に戻った。

大きく時計が動いたのは1990年。東欧の民主化と冷戦の終結などにより「10分前」になり、1991年にはソ連崩壊で「17分前」まで回復した。

ただその後は、再び核などの問題により時計の針は進む。

インドとパキスタンが核の保有を宣言したことなどから1998年には「9分前」、米同時多発テロの翌年である2002年には「7分前」、2007年には北朝鮮による核実験や地球温暖化の進行で「6分前」に。

2010年にはバラク・オバマ米大統領の核廃絶に向けた演説などにより「7分前」と1991年以来初めて時計が戻ったものの、東日本大震災にともなう福島第一原発の事故による原子力発電への安全性の懸念を受け、2012年には「5分前」に進んだ。

その後2018年には北朝鮮の核開発を受けて1953年に並ぶ「2分前」まで短縮され、2019年も維持されていた。