日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告と森雅子法務大臣が、英紙フィナンシャル・タイムズ電子版で互いの主張をぶつけ合っている。
ゴーン被告はレバノンへの逃亡後に開いた記者会見で日本の司法制度を批判。複数の海外メディアもこれを受けて同様の主張を展開した。
森法相はフィナンシャル・タイムズに寄稿し反論。「(日本の司法制度は)企業生活の健全な機能を確保すると同時に、容疑者と被告人の基本的人権を保護するように設計されている」と指摘した。日本では起訴率が37%と低いことや黙秘権があること、強要された自白は証拠として認められないことなどを示して公正さを訴えた。その上で、ゴーン被告は「手続きに身を委ねて自分の主張を述べることもできた」と結んだ。
これを受けて、ゴーン被告は1月22日同じフィナンシャル・タイムズに「私は二重基準と偽情報の犠牲者だ」と題し寄稿。「私自身の経験は、これ(森法相の主張)が真実ではないことを示している」と主張した。改めて自身にかかっている容疑を否定した上で、「数ヶ月間独房に閉じ込められ、1日30分しか外に出られなかった」「公正な裁判は決して受けられないと確信し、日本で死ぬことを恐れた」などと訴えている。
森法相はこれまでも、ゴーン被告の主張を受けて日本の司法制度を批判する社説を掲載した米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し「日本の刑事司法制度を正確に踏まえていない」と指摘。日本企業のコーポレート・ガバナンスが進展していることについて同紙でも取り上げられていることを挙げ、「政府と企業の陰謀を説くことに説得力はない」としている。