伊藤詩織さん、判決当日にYahoo! JAPANの「ドキュメンタリー年間最優秀賞」を受賞

ジャーナリストとして着実にキャリアを積んでいる伊藤さん。自身が監督した作品について「将来的には長編ドキュメンタリーとして映画化したい」と語っています。
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伊藤詩織さん
Jun Tsuboike

元TBS記者の山口敬之さんとの民事訴訟で勝訴したジャーナリストの伊藤詩織さん。判決と同じ12月18日、伊藤さんはYahoo! JAPANのドキュメンタリー年間最優秀賞を受賞した。

12月18日に行われた「Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム感謝祭」。

2019年に新設された「ドキュメンタリー年間最優秀賞」に、ドキュメンタリー動画配信サイト「Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム」で自身が撮影・監督したドキュメンタリー作品を発表している伊藤さんが選ばれた。

伊藤さんは、同サイトで3本の作品を発表している。

一つは、西アフリカのシエラレオネ共和国で伝統として行われている「女性器切除(FGM)」の問題に切り込んだ「COMPLETE WOMAN」。「Story of Fatamata」「Story of Ajaie」の2本からなり、切除の儀式を受けた女性、受けなかった女性、儀式を行う女性や現地のジャーナリストなど、各方面への取材を通じ、伝統と性暴力の狭間にある葛藤や闘いを描いた意欲作だ。

もう一つは、戦後の混乱期に満州から日本に引き揚げる中で家族に毒を盛る手助けをしてしまった男性の葛藤を描いた「I KILLED MY FLOWERS」

「戦争や人権問題をはじめとした国内外の知られざる社会課題を力強い映像作品として伝えたことで、多くの反響を呼んだ」として、評価された。

 伊藤さんはジャーナリストになるために渡米し、ニューヨークの大学で写真とジャーナリズムを学んだ。

国内外の社会問題をテーマに、ドキュメンタリー作品を発表し、ジャーナリストとしての実績を着実に重ねている。

孤独死をテーマにした作品「Lonely Deaths」で、国際メディアコンクール「New York Festivals 2018」のドキュメンタリー部門で銀賞を受賞。2018年にはドキュメンタリー制作会社「Hanashi Films」(拠点はロンドン)を設立した。

現在も、北海道夕張市の再建に挑む人々を描いたドキュメンタリー「ユーパロのミチ」などの制作を続けている。

伊藤さんは「ユーパロのミチ」や「COMPLETE WOMAN」について、「将来的には長編ドキュメンタリーとして映画化したい」と語っている。

判決後に表彰式に出席した伊藤さんは、トロフィーを受け取って「今日は自分にとってとても大きな日だったんです。なので、ちょっと頭がぼーっとしてるんですけど」と語り始め、明るい表情で抱負を語った。

「今回はシエラレオネの『女性器切除(FGM)』という日本に馴染みのないトピックだったんですけど、いろんな方に見ていただいて、いろんなコメントをいただいて…。親近感を持って自分ごととして見ていただけた方がたくさんいらっしゃいました。今後も10分間の中で何ができるか考えながら、日本の視聴者の皆様に作品を届けていきたいと思います」

 

【UPDATE 2019/12/20 12:50】

記事の最後に、伊藤さんのコメントを追記しました。