スポーツ用品大手NIKE(ナイキ)は12月12日、イスラム教徒の女性に向けた水着シリーズのラインナップを発表した。
同シリーズは、体の露出を避けた水着を求めるイスラム教徒(ムスリム)の女性アスリートの声に応えて制作されたという。
水中スポーツをするムスリムの女性たちの「画期的な選択肢」に
ナイキが発表したのは、『ヴィクトリースイム コレクション』。
体全体を覆うスイムスーツの他、ムスリムの女性が頭に着用する水中用ヒジャブ、チュニック、レギンスなどのラインナップが揃う。
同社がこれらを開発するにあたって、宗教を信仰する上で体を隠す必要がある女性アスリートの声を聞くと、「水中でビジャブが取れてしまう」「快適に安心して体を動かせる選択肢がない」など様々な声があがったという。
それらの意見を反映し、水中用のヒジャブには髪の動きを抑えてくれるメッシュポケットを備えるなど、ストレスを抱えずに、より多くの女性が水中スポーツを楽しめるような商品作りに取り組んだという。
マレーシア人学生のアリーナ・ウィラさんは、水着を着用した感想をこのように話す。
スイミングをした時にまず気づいたことは、ヒジャブが取れないということです。きちんとはまったままで、全くずり上がってきませんでした。
一方、サウジアラビアで初の女性ダイビングインストラクターのノフ・アロサミさんは、水中スポーツにおけるムスリムの女性の現状に触れた上で、以下のように話した。
私が会うほとんどの生徒やダイバーは、体を露出させたくないことと、水の中でヒジャブを着用することの難しさから、水泳やスキューバダイビングはできないと思っています。
海やプールでヒジャブをつけるのは難しいと思うのです。
でも今なら「大丈夫。しっかりとヒジャブをつけたままで水の中を楽しめますよ」と言ってあげられます
ナイキは2017年12月より『ナイキ・プロ・ビジャブ』と題して、ストレスフリーで機能性も満たす商品開発を進めてきた。
ムスリム女性が着用する「ブルキニ」。禁止されるなど過去には「性差別では?」と議論も
多くのムスリム女性はプールや海など水に入る際、足や頭を隠す「ブルキニ」と呼ばれる水着を着用することが一般的だ。
だが、フランス南部のカンヌ市では2016年、海水浴場でのブルキニ着用を禁止する法令を施行。
同様の禁止令は、ヴィルヌーヴ=ルべやコルシカ島のシスコでも出されていた。
またニースなどでは、警察がムスリムの女性を取り締まり、ブルキニを脱ぐよう指示したり、ビーチから出て行くよう伝えるなどし、「性差別に当たるのでは」と議論を呼んでいた。
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