平成の経済のキーワードをひもとくことで、令和経済を見通すヒントとする特集。1回目は「デフレ」です。
90年代前半のバブル崩壊後、日本は「失われた20年」と呼ばれた景気低迷の時代を迎えます。大きな原因がデフレであり、政府の経済政策は多くがデフレ対策です。
デフレとは、端的に言えば「物価が下がること」。モノが安く買えるとなぜ不況になるのか? まずは整理して平成の経済を理解しましょう。
4コマで「デフレ」
どうなる?令和の経済
バブル後のデフレは、大変しぶとい強敵です。日銀は金利引下げなどの金融緩和で対応しましたが、今や「ゼロ金利」が当たり前になっています。もうこれ以上、金利を下げられない状態です。
そこで、2013年に就任した黒田日銀総裁は「量的緩和」に踏み切りました。
量的緩和とは、金融機関が保有している債券などを買い上げる金融緩和の方法です。
日銀が債権を買い上げる
→金融機関が保有するお金の量が増える
→余ったお金を積極的に融資や投資に使う
→市場にお金が出回る
といった仕組みです。
量的緩和の影響もあり、令和元年12月現在では戦後最長の好景気とされています。
では、デフレは解消したのか?
残念ながらそうとは言えないようです。
黒田総裁の就任以来、日銀は毎年2%の物価上昇を目標にしています。しかし、達成された年は1回もなく、デフレ脱却は道半ばです。
平成と同様、令和経済も当面はデフレ対策が最大の課題になりそうです。
次回はデフレを引き起こす原因となった「バブル経済」をみていきます。
<参考文献>
中村 宏之『おさえておきたい「平成の経済」』(山川出版社)
*この記事は2019年12月12日HISTORIST掲載記事
から転載しました。