これからの恋愛に“モテ”はいらない。Forever21の青いレギンスが、私を解放してくれた

自分にぴったりな相手と幸せになりたいなら、大多数から「モテる」ために自分を偽ることは遠回りだと思うのです。
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プラスサイズモデルの藤井美穂さん
藤井美穂さんのInstagramより

モテのために、なりたい自分を無視していた

 日本では、雑誌やテレビで「モテ」を取り上げた企画が多く見られます。

まるで女性も男性もモテなければ人間じゃないかのように感じさせられる。

でも日本にいたときは、そんなわけないと思いながら、心のどこかで気にしていて、このモテのカテゴリに入れない自分に落胆していました。

 

しかし、アメリカに来てからモテがすごく日本的な文化なのだと気づきました。

アメリカ英語にはモテにあたる単語はありません。

そりゃ人気のある人、ない人はもちろんいますが、日本のように「モテるタイプ」がガッチリと決まっていないんです。

例えば学校ならいろいろなタイプのグループがあって、例えばチアリーダーやスポーツマンのいる目立つグループやオタクな子たちが集まるグループ、ある人種が集まっているグループ…、そのグループの中にそれぞれ人気のある子がいる感じ。

アメリカは移民の国なので、まずいろんな文化が入り混じっています。

それぞれの文化で可愛い、セクシーの概念も変わってくるので、それぞれの好きなものがその人のモテなのです。

かつ、それぞれの文化は尊重されます。だから、自分の好きなものが貫き通しやすい環境でもあると言えるでしょう。

 

こう改めて書いてみると、当たり前のことのように思えますが、日本にいたときは私も、人が好きになってくれそうな自分になろうとしていました。

痩せようとオリーブオイルを飲んだり、朝バナナを食べたり、変なダイエットをしてみたり。

モテそうなニットワンピを買ってみたり、モテそうな髪色でググってはその髪色にしてみたり。

自分がなりたい自分を無視することもありました。

だから私は、アメリカに来てから改めて、自分の好きな自分と向き合わなければならなくなったのです。


着たい服を着れるようになり、私は変わった

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Forever21で青いレギンスを試着した時の様子。新しい藤井さんが生まれる瞬間。
本人提供

今でこそ、Instagramなどで着ているスキニージーンズを、私は日本で履いたことがありませんでした。太い脚が余計に強調されるので、人に笑われた経験がトラウマになって履くことを避けていたのです。

 ところがアメリカに来てみると、日本ではスカートの下などに合わせるレギンスを周りの人たちはズボンとして履いています。

スキニージーンズがダメな私は、レギンスなんて履けるはずがありません。渡米2年目まで履くことはありませんでした。

 

そんな私に転機が訪れます。

ある時、色んな人に「レギンス、履けばいいのに」と言われ、勇気を出してロサンゼルスにある「Forever21」に向かったのです。

手にしたのは、青いレギンス。鏡に写る青いレギンスを履いた自分を見て思い出しました。

本当は、私、スキニージーンズをカッコよく履いてみたかったんだと。そして、自分の体のシルエットがはっきり見えるスタイルに憧れていたことに改めて気づきました。

 人に笑われるから、こんな格好したらみっともないから、と抑え込んでいた自分の気持ちが急に顔を出しました。

そのときからまるで押さえつけていた何かが弾けたように、昔から着てみたかった服を着れるようになり、

私はやっと長年縛られていたモテの呪縛から解放されたのです。

 

モテは、本当に幸せの近道なのか?

なぜ多くの人がモテを追い求めるのか、考えてみると「付き合う相手の選択肢が増えるから」ということがその背景にはあると思います。

でも選択肢を増やすことは、本来の目的である「幸せ」への近道になるのでしょうか?

そりゃ、恋愛での幸せの概念は人によって違います。私にとっての幸せはすごく気の合う相手とたくさん話をして、お互い好きで、尊重し合えること。

要は自分にぴったりな相手が見つかることです。これは多くの人が求めているものなのではないでしょうか。

 自分にぴったりな相手に会いたいなら、モテのために余計に自分を偽ることは遠回りだと、私は思うのです。

それよりも自分が好きな自分でいる方が、あなたのスタイルや考えに同意するぴったりな相手に出会えるはず。

 

モテとは世間のマジョリティーが好きであろうスタイル。でも世間の大多数の人間に好かれても、その中にあなたにぴったり合う相手がいるとも限りません。

そういう意味では自分の好きな自分でいることは多くの人間の中から自分に合う相手をふるいにかけることでもあるのです。

 しかし最初は自分の好きな自分を信じて、自分らしくいることがさえもまず難しいことだと思います。私が、スキニージーンズをアメリカに行って2年経つまで履けなかったように。

さらには、自分らしくいることで、人から心ないことを言われることもあるでしょう。

 そんなときは、あなららしさを否定するようなことを言ってくる人が100%悪いことをまず忘れないでください。

人は千差万別、みんなちがってみんないい。言葉で言うのは簡単ですが、実際世の中は人と違うものを叩いて直そうとする。

たとえ他人があなたのスタイルを非難しても、私が代わりにあなたのスタイルは素敵でオリジナルで素晴らしいと断言したい。

変わってること、ユニークなことは宝です。いきなり自分らしく変わることは自信と勇気が必要かもしれません。でも自信をもってやれば、周りも認めざるを得ないはず。

むしろ自分を突き通せる人は美しいし、羨ましいもの。

多くの人は、他人を納得させて、みんなに認められるようになって初めて自分らしくなれると思いがちです。でも、自分らしくなることによって、周りを納得できて、認められるのだと、アメリカに来て、私は思いました。 

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プラスサイズモデル・藤井美穂さん
藤井美穂さんのINSTAGRAMより

 

メディアもモテという言葉で煽ってくるけれど

日本人はとてもおしゃれです。ユニークなスタイルを持ってるし、他にはないオリジナルな世界観を持っています。それが「体型が…」「顔が…」「年齢が…」に邪魔されてしまうんです。

これらはどれも、周りの声を気にした結果生まれる「自分らしさを捨てる」理由づけです。もちろんTPOをわきまえなければならない場面もあるでしょう。でも、それ以外は私たちは好きな服を着て、好きに振る舞うべきです。

 

メディアはあなたの容姿について、モテという言葉を使って煽ってきます。

しかし顔も体も人それぞれ違うのが人間らしい魅力で、あなたらしいはず。

他人のために痩せる必要も太る必要も、目が大きくある必要も、鼻が高くはある必要もありません。

自分が気持ちのいい自分でいることが、ありのままのあなたを愛してくれる人を見つけるための近道です。

あなたは、ここにいるだけで、もう充分に美しい存在ですから。

 

インターネットなどでの出会いも普通になってきた昨今、自分の周りの人間関係のなかから交際相手を選ぶ必要性も少なくなってきています。だから、余計にモテはどんどん不要な物になっていくでしょう。

だとしたら、モテに翻弄されるのではなく、あなたの好きなあなたでいて、そんなあなたが好きな人と一緒にいる方がきっと幸せ。

そう思いませんか?

 (編集:榊原すずみ @_suzumi_s

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