国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の企画展「表現の不自由展・その後」が中止となり、文化庁が『あいちトリエンナーレ』に対して採択を決めていた補助金を全額不交付にすると発表した問題。
文化庁長官の宮田亮平氏は、10月15日に開かれた参議院予算委員会で、「補助金不交付を見直す必要はないと考えた」と述べた。立憲民主党の福山哲郎議員に質問に答えた。
福山議員は、文化庁の補助金の不交付決定について「今回みたいな不透明な決定は遺恨を残すと思います」と言及。
さらに、「もう一回、(文化庁)長官として不交付の撤回をもう一度再検討するべきだとお話頂けませんか?」と求めると、文化庁の宮田長官は以下のように答弁した。
表現の自由は、極めて重要であります。
今後とも大変大切であると思っております。
他方、今回の決定は申請者の手続き上の問題です。
その点にもし、誤解が生じるようであれば、理解が得られるように努力をして参りたいと思います。
続けて、福山議員から「今回の不交付の理由は実現可能性と事業の継続性ですが、もう再開をして安全性の確保もできています。実現可能性と事業の継続性にも問題はなくなったと考えますが、長官いかがですか?」と質問。
これに対し、宮田長官は補助金不交付の理由について、改めて自身の認識を示した。
今回の補助金の不交付の理由は、企画展の中止や再開にかかわらず、補助金申請者の展覧会の開催にあたり、来場者を含め、展示会場の安全や円滑な運営を脅かすような重大な事実について認識しておりました。
それらの事実について、文化庁に全く申請しなかったということによります。
それによって、不交付決定を見直す必要は“ない”と考えました。
【『あいちトリエンナーレ』への補助金不交付】
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あいちトリエンナーレ2019の「電凸」も、文化庁の補助金のとりやめも、気軽なリツイートのように、あっけなく行われた。
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