「家族のあり方は国が考えることなの?」夫婦別姓集団訴訟、東京地裁では原告敗訴

夫婦別姓を望んだが認められず事実婚となった男女3人が国を相手に50万円(1人当たり)の損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁(大嶋洋志裁判長)は10月2日、請求を棄却した。
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記者会見する恩地いづみさん(中央)と弁護団
Yuriko Izutani / HuffPost Japan

選択的夫婦別姓を求めた訴えは、再び退けられた。

夫婦別姓を望んだカップルの婚姻が民法などで認められないことは違憲だなどとして、事実婚の男女3人が国を相手に50万円(1人当たり)の損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁(大嶋洋志裁判長)は10月2日、請求を棄却した。

判決では、夫婦同姓を義務付けた民法750条などの規定は憲法違反ではなく、法律を作らない国会の対応も違法とはいえないとされた。

理由について大嶋裁判長は、社会動向として「女性が婚姻、出産後も継続して就業する傾向にあり、選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する人も増加傾向にある」と述べつつ、「判例変更を正当化しうるほどではない」「国会における立法政策として十分に考慮されるべき事項」とした。

判決は、夫婦同姓を規定した民法を合憲とする最高裁大法廷判決(2015年)をほぼ踏襲する形となった。

この裁判でも団長を務めた原告側の榊原富士子弁護団長は同日、記者会見で「結果は原告敗訴でした。残念ですが、女性の社会進出や夫婦別姓に賛成する人が増加していることなど、訴えてきた社会の変化について判決の中で認定されたことは良かったと思います」と語った。

この弁護団による夫婦別姓訴訟は、この東京地裁を含む3 カ所で合計10人が提訴する集団訴訟となっている。今回が初めての判決となった。

11月に判決が予定されている広島地裁の訴訟の原告、恩地いづみさんも記者会見に同席した。

恩地さんは「大変残念。この国の憲法は同姓を強制をするのかなと思った。(既に出ている)広島家裁の審判も2015年のコピペのような内容。読んでいて悲しくなりました。どこまで社会が変わればこれは認められるんだろう?何%の人が別姓を容認すれば変わるんだろう?できることなら示して欲しいと思いました。ただ、今年の参院選でも夫婦別姓は争点になりました。裁判はどうなるにせよ、きっと法律が変わると信じています」

また、弁護団の一人、野口敏彦弁護士は「家族のあり方は国が考えるべきことなのでしょうか?それぞれの家族がこれがベストという形をサポートするようなあり方が合理的なのではないかと思います」と語った。弁護団は控訴する方針だという。

選択的夫婦別姓をめぐる裁判は、2015年以降も、サイボウズ社長の青野慶久氏や、出口裕規弁護士と妻らが提起していたが、いずれも地裁では請求が棄却されている。