日韓の緊張関係が続く中、両国のメディアの労働者団体が9月28日、「ナショナリズムを助長する報道には加担しない」ように呼びかける共同宣言を発表した。
共同宣言は、韓国の全国言論労働組合(言論労組)と日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)によるもの。MICは新聞・放送・出版・映画・演劇など9つの労組が集まった労組連盟。
「事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう」というタイトルで、「歴史問題に端を発した日韓両国の政治対立が、さまざまな分野での交流を引き裂き、両国の距離を遠ざけている」と現状を分析する。
さらに、「歴史の事実に目を背ける者に、未来は語れない。 過去の反省なしには、未来を論じることはできない」として、「排外的な言説や偏狭なナショナリズムが幅をきかせ、市民のかけがえのない人権や、平和、友好関係が踏みにじられることがあってはならない。いまこそ、こつこつと積み上げた事実を正しく、自由に報道していくという私たちメディア労働者の本分が問われている」と呼びかける。
反日・嫌韓報道に「待った」
一方で、日本でも週刊誌が「韓国なんて要らない」という特集を掲載。テレビ番組では、韓国人の男が日本人女性に暴行を加えたとして立件されたというニュースについてコメンテーターが「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しないといかん」と発言するなど、嫌韓報道が問題視されていた。
こうした動きに対し、韓国の言論労組は8月2日に「ジャーナリズムの本領と普遍的な人権価値を守れ」と題する声明を発表。日本でも新聞労連が9月6日に「『嫌韓』あおり報道はやめよう」と題した声明を発表していた。
共同宣言の全文は以下の通り。
日韓両国のメディア労働者共同宣言
―事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう―
歴史問題に端を発した日韓両国の政治対立が、さまざまな分野での交流を引き裂き、両国の距離を遠ざけている。
歴史の事実に目を背ける者に、未来は語れない。
過去の反省なしには、未来を論じることはできない。
排外的な言説や偏狭なナショナリズムが幅をきかせ、市民のかけがえのない人権や、平和、友好関係が踏みにじられることがあってはならない。いまこそ、こつこつと積み上げた事実を正しく、自由に報道していくという私たちメディア労働者の本分が問われている。
今日、日本の「マスコミ文化情報労組会議」と韓国の「全国言論労働組合」に集うメディア労働者たちは、平和と人権を守り、民主主義を支えるメディアの本来の責務をもう一度自覚して、次のように宣言する。
一、我々は今後、あらゆる報道で事実を追求するジャーナリズムの本分を守り、平和と 人権が尊重される社会を目指す。
一、平和や人権が踏みにじられた過去の過ちを繰り返すことがないよう、ナショナリズムを助長する報道には加担しない。
2019年9月28日
日本マスコミ文化情報労組会議
韓國全国言論労働組合