「あなたたちが話しているのは、お金のことと経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか！」

ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで9月23日、約5分にわたって怒りのスピーチを行ったスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん（16）。　

地球温暖化対策に腰が重い各国のリーダーに対し、「私たちは人類絶滅の始まりにいるのです」と未来への危機感を示し、「若い世代はあなたたちの裏切りに気づき始めている。未来の世代の目は、あなたたちに向けられているのです」と涙を浮かべながら熱弁した。

演説とともに注目されたのは、トゥーンベリさんとアメリカのドナルド・トランプ大統領の冷戦だ。

23日の気候行動サミットには、当初出席を予定していなかったトランプ大統領も突然姿を現した。会場入りしようとするトランプ大統領に気づいたトゥーンベリさんが、こわばった表情を浮かべ、厳しい視線を送る様子が各国のメディアに流れた。

一方、トランプ大統領はトゥーンベリさんの演説の動画を引用したツイートに対し、「明るくて素晴らしい未来を楽しみにしている、とても幸せな少女のようだ。彼女を見ることができてよかった」とからかうようなコメントを９月24日投稿。「侮蔑的だ」「彼女は何も間違っていない」と、非難する声が上がっていた。

すると、トゥーンベリさんはトランプ大統領と同じツイートをリツイートしたうえで、公式ツイッターのプロフィール欄にトランプ大統領のコメント「a very happy young girl looking forward to a bright and wonderful future.」をそっくりそのまま引用。

「明るくて素晴らしい未来を楽しみにしている、とても幸せな少女です」と自己紹介している。

一言も反論せずにトランプ大統領の皮肉を逆手に取ってみせたトゥーンベリさんに対し、「彼女のフォロワー数がトランプ大統領よりも増えたらいいのに」「彼女はヒーローだ」と賞賛するコメントが集まっている。

トランプ大統領は気候変動を「信じない」と懐疑的に見て、地球温暖化対策について国際的に取り決めた「パリ協定」からの離脱も表明。トゥーンベリさんは9月18日にアメリカ下院委員会の公聴会に出席し、国連の科学者組織がまとめた報告書を提出。トランプ政権に「科学者の声を聞き、科学に基づいて団結し行動してほしい」と呼び掛ける一方で、オバマ前大統領とも面会していた。