前澤友作さん「宇宙にどうしても行きたい」 ZOZO社長退任の理由を明かす。

会見には、色違いのTシャツで孫正義さんもサプライズ登場しました。
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記者会見する前澤友作氏
Fumiya Takahashi/Huffpot Japan

ソフトバンク傘下のヤフーが子会社化することが決まったファッション通販サイト大手「ZOZO」の創業者、前澤友作氏らが9月12日、東京都目黒区で記者会見が始まった。

前澤氏は会見で、ZOZOの代表取締役を辞任した理由について「準備やトレーニングに時間を割くことが多くなる関係でスッキリ辞任させていただいた」と説明。

今後の活動については、イーロン・マスク氏が手がける宇宙開発ベンチャー「スペースX」と契約し、月への周回旅行を目指していた件について「順調に準備が進んでいます」と話した。

その上で、ZOZO社長を退任した理由について「宇宙にどうしても行きたい、ということで、準備や宇宙に行くためトレーニングに時間を割くことが多い関係で、今回、すっきり辞任させていただくことになりました」と明かした。

もう一つの活動として、「自宅の6畳一間で事業をはじめ、自分の手で事業を作り上げた感動があって、あの感動をもう一度ということで、もう一度事業を作ってみたい」と新たな事業への意欲を述べた。

 

孫正義氏もサプライズ登場

『Let’s Start Today』と書かれたTシャツ姿でマイクを握った前澤氏は、「前社長、前澤でございます」と挨拶。

新社長の澤田宏太郎氏について「生真面目、ストイック、几帳面。11年一緒にやってきましたが、今回、澤田の果たせる役割は非常に大きい」と期待を込め、「新社長として託したいと頼んだら、ぜひちょっと嫁に聞いてもいいですかとおっしゃっていた。そういう可愛いところがいいところでもありました、社員から懐かれています」と紹介した。 

記者会見では、涙を浮かべて「21年間、本当に、至らぬ僕についてきてくれて、時には泣き、笑い……」と社員への思いを語る場面も。

「ああやばい」と涙で言葉を詰まらせ、「あとで社員に伝えることにします」と苦笑。「21年間本当にありがとうございました」と挨拶を締めくくった。

会見には孫正義氏もサプライズ登場。前澤氏と色違いの黒いTシャツ姿で前澤氏にエールを送った。前澤氏に月に誘われたが断ったといい、「高所恐怖症なんで」と明かした。

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前澤氏と孫氏(左)
Fumiya Takahashi/Huffpost Japan

新社長は澤田宏太郎氏

前澤氏は1998年に現在のZOZOを創業。ファッション通販サイト「ZOZO TOWN」の運営を手掛け、スマホで撮影するだけで全身を採寸できる「ZOZOSUIT」を無償で配布するなどして話題を集めた。

一方で、ZOZOSUITの売り上げが想定に達しなかったうえ、会員向けの割引サービスに対して「安売りによってブランドイメージが低下する」と出店ブランドからは反発も。昨年度の決算では、上場以来初となる減益となっていた。

ヤフーは9月12日、TOB(株式公開買付)を通じてZOZOの株式を取得し子会社化する方針を発表。ZOZOの株式の50%余りを取得して買収することを目指す。買収金額は4000億円余りに上る見込みという。

創業者の前澤氏も所有するZOZOの約37%の株を全て手放す方向。また、前澤氏は9月12日に開催された取締役会で辞任が承認された

新社長の澤田氏は「大勢のメディアに囲まれることに慣れていない」と照れた表情を見せ、「コンサルタントとしてキャリアをスタートしたので、リアリスト、ニュートラル、安定感をモットーとしています」と自己紹介した。「前澤と比べて真逆じゃねえか?」と皆さん思ってるかと思うんですが、真逆ですね」と語った。

また、ZOZOの事業が前澤氏の「強烈なインスピレーションやリーダーシップで作り上げてきた」と振り返った上で、「今後のZOZOはトップダウン経営から、社員一人ひとりの力を活かして組織の力を活かす。そういった経営に移行していきます」とワンマン体制からの脱却する方針を示した。

 

ヤフーとZOZO、提携の狙いは?

ヤフーは2019年秋にキャッシュレス決済の「PayPay」で買い物ができる「PayPayモール」のローンチを予定している。一方でヤフーの利用者は中高年層が多いとされ、若い世代の集客が課題とされてきた。

それに対し、ZOZO TOWNは若年層のユーザーが中心。ヤフーが所有するメディアなどからPayPayモール上のZOZO TOWNなどにユーザーを送り出す効果が期待されている。また、ZOZO TOWN本体でもPayPayの導入が進められる方針で、競合が乱立するキャッシュレス業界で利便性を高めることができる。