グリーフケアにおける音楽と共感の力

あなたがグリーフや喪失を経験した時に、支えになったものは何ですか?
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Photo Taken In Berlin, Germany(イメージ写真です)
Classen Rafael / EyeEm via Getty Images

お母さまを亡くし、グリーフ(悲嘆)を経験している読者からメールをいただきました。彼女の心に響いた一冊の絵本があるそうです。『くまとやまねこ』( 河出書房新社)という絵本で、友だちのことりをなくしてしまった、くまの物語です。

ことりが死んでしまった後、くまは部屋に閉じこもってしまうのですが、やまねこのバイオリンがくまの心に変化をもたらします。そして、くまはやまねこのくれたタンバリンを練習し始めるのです。

彼女からのメッセージには、こう書かれていました。

このクマの状況がこの1年間の私にそっくりなので、初めて読んだのですが、佐藤さんのイメージが出てきたので、メールを送らせていただきます。

誰にも理解されず閉じこもったクマは、ヤマネコによって癒されるのです。ヤマネコがクマの気持ちに寄り添い、バイオリンを弾くことによって、クマは亡くなった小鳥との楽しい日々を思い出し、また新たな世界を歩き始めるのです。

死を前にした人ではなく、遺された側のグリーフケアに音楽が使われてる絵本なんですね。
作者が音楽学校出身の方だからかもしれませんが、音楽療法とはちょっと違うけど、音楽の力が人の心に影響を与えるという意味では同じかもしれませんね。

『くまとやまねこ』のあらすじは、「死ぬまでに読みたい絵本」をご覧ください。

グリーフケアにおける音楽の力や、共感してくれる人の存在の大切さを教えてくれる物語ですね。そして、グリーフを乗り越えていく(get through) ことの意味についても考えさせられます。

グリーフを克服する(get over)ことはできませんが、大切な人を失った後、再び幸せを感じることは可能です。喪失の直後はそんなことは無理だと思うかもしれませんが、時間が経つにつれ、徐々に心の変化が起こると思います。

そんなことを思い出させてくれる絵本です。紹介してくれた女性に感謝します。

皆さんは、グリーフや喪失を経験した際に支えになった本はありますか?

(この記事は佐藤由美子さんのブログ『グリーフケアにおける音楽と共感の力』より転載しました。)