韓国の文在寅大統領の支持率が揺れている。
8月26日に発表された「リアルメーター」の世論調査では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の不支持率が50%を超えた。支持率は46.2%だった。
「リアルメーター」では、1週間ごとの支持率の集計を発表してる。今回発表されたのは、8月3週目の数字だった。同社の調査で、不支持率が50%を超えたのは就任後初めて。
支持率低下の理由は側近のスキャンダル
支持率低下の背景にあるのは、文大統領の側近で、次期法務部長官として指名されている曺国(チョ・グク)氏のスキャンダルとの見方が濃厚だ。
曺国氏の娘の大学進学をめぐる疑惑が次々に浮上している。大学受験戦争が激しい韓国では、政権に近い人間の不正入学疑惑は政権の命取りになりかねない。
現地メディアの世論調査では、曺国氏を法務部長官に任命することに反対する声が6割以上に上り、批判の矛先は文大統領にも向いている。
「リアルメーター」の1日ごとの文大統領の支持率をみると、19日には50.0%だった支持率が22日の44.2%まで4日連続で下落。逆に、不支持率は45.9%(19日)から、52.8%(22日)まで上がり続けた。
23日にGSOMIA破棄が伝えられると、23日には支持率が45.4%(不支持率52.0%)に小幅回復したが、韓国国内ではGSOMIA破棄の判断自体を疑問視する声も。
野党からは、「GSOMIA破棄は曺国氏の疑惑隠し」との見方も出ている。
24日には、ソウル市内で文在寅大統領の退陣を求める数万人規模の集会が開かれた。この日の早朝には北朝鮮が弾道ミサイルを発射したこともあり、ここでもGSOMIA破棄を非難する声が大きく上がった。
どんな人物?
曺国氏は、文在寅政権が発足した2017年に青瓦台の民情首席秘書官に抜擢された人物で、文大統領からの信頼が厚い。facebookでは日本に対する過激発言も注目を集めていた。
日本が韓国への輸出管理を強化した7月には、facebookで「『戦争』は『戦争』である。このような状況で重要なのは『進歩』か『保守』か、『左』か『右』かではなく、『愛国』か『利敵』かである」と投稿。
徴用工裁判の最高裁判決についても、韓国国内で疑問を持つ人に対して「最高裁判決を否定したり非難、罵倒したりするのは、まさに日本政府の立場だ。私は、そのような主張をする韓国人を『親日派』と呼ぶべきだと思う」と批判し、「日本の韓国支配の『不法性』を認めるかどうかが、すべての問題の根源だ」と主張していた。
強硬路線を軌道修正?
8月27日、韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相はGSOMIA破棄について再検討する可能性に言及している。
「GSOMIAが終了する11月23日まで約3カ月の時間が残っている」として、「その期間に打開策を見いだし、日本の不当な措置を原状回復し、我々はGSOMIA終了を再検討できると考える」と述べたという。
また、「私は日本政府が事態をこれ以上悪化させないと信じる。事態を悪化させなければ韓日両国政府が現状況を打開できると判断する」と日本に秋波を送った。
一方、読売新聞がGSOMIA破棄が伝えられた23日〜25日に行なった世論調査では、安倍晋三内閣の支持率は58%となり、前回調査(7月22~23日)から5ポイント上昇したという。