「逃亡犯条例」改正案をめぐって大規模なデモが続く香港で、中国本土との境界付近にある深圳(シンセン)市の競技場に中国人民武装警察の大規模部隊が集結している。
数千とみられる武装警官が行進
AFP通信は8月15日、スタジアムで武装警察の部隊が行進する様子を捉えた映像をツイッターで公開した。
スタジアムの外にはたくさんのトラックや装甲車が整然と並び、スタジアム内では数千とみられる武装警官が行進する。号令を飛ばす声も聞こえる。
CNNも取材班が深圳に入っている。対暴徒用の盾や警棒を持った中国人民武装警察の姿を確認したとして、「部隊は一時的な任務で到着したばかりであり、競技場内にとどまっている」とする武装警察の将校の言葉を紹介している。
香港では、デモ隊と香港警察の衝突が続き、複数の怪我人が出ている。こうした中で中国の報道関係者が一部のデモ隊から暴行被害を受け、中国は「ほぼテロに近い行為」と非難を強めている。
「アメリカ人は天安門事件を覚えている」
深圳に中国の武装警察が集結していることについては、アメリカでも介入を懸念する声が上がる。
ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は8月14日、政府系放送局「Voice of America」のインタビューに対し、「中国政府は自分たちのとる手段を極めて注意深く考えるべきだ。なぜなら、アメリカ人は1989年の天安門広場における自由と民主主義を求めた若者への中国政府の弾圧を覚えているからだ」と牽制した。
トランプ大統領も8月15日、Twitterを更新。
「中国の習近平・国家主席をよく知っている。彼は偉大なリーダーであり、中国の国民から非常に尊敬されている。彼はまた、困難な問題に立ち向かう善良な男だ。習近平・国家主席が香港の問題を迅速かつ人道的に解決したいと願うなら、彼は間違いなくそうできるだろう」と人道的解決を呼びかける投稿をした。
さらに、「個人会談するかい?」と米中首脳間で話し合うことも提案した。
香港渡航に「レベル1」の危険情報
デモ隊と香港警察の対立が続く中、日本の外務省は14日、香港全域を対象に渡航時に十分な注意を呼びかける「レベル1」の危険情報を出した。
「ゲリラ的な抗議活動が行われるなど流動化傾向がみられ、抗議者と警察当局の衝突がエスカレートしている」として、「今後も抗議活動が継続し、混乱が続く可能性がある」と指摘する。