ペットや子どもの熱中症に注意。60℃を超える地面でやけども、外出の注意点と対処法

地面が熱すぎて、犬は散歩中に肉球がやけどして剥がれてしまうことも。

台風も去り、夏の暑さがピークに達している。  

気象庁によると新潟や山形、石川の各県では8月15日、観測史上1位の暑さを更新し、日本海側各地で軒並み最高気温40℃を超えた。ただ、この気温は風通しの良い芝地で、高さ1.5メートルに設置した場所で測った場合。 

実は、アスファルトで直射日光の照り返しがある日向は、気象庁の発表する温度よりも10℃以上温度が上がることもある。

うだるような暑さで熱中症が続出しているが、特に気を付けたいのが子どもやペットだ。

裸足で60~70℃のアスファルトを歩く。やけどして皮がベロンと剥けることも

アスファルトの表面は、真夏にどのくらいの温度になるのだろうか。

地表温度を求める式様々あるが、外気温40℃のときのアスファルトの表面温度はいずれも72℃~75℃程度となることが多い。理論上は超高温だ。

30℃の真夏日でも、アスファルトの地表温度は60℃近くまで上昇している。

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気温が約30℃の時、アスファルト舗装は57℃程度の高温になっている
地表面に近い大気の科学《図5.8》より

地面に近ければ、その分だけ感じる暑さもアップする。

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地面から近いほど暑さは過酷に
alphabetMN via Getty Images

乳幼児ならば胸の高さは50cmほど。ベビーカーに乗せても40~50cmほどの高さだ。

環境省によると、地面から150cmの高さで30℃だとしても、50cmの高さでは2℃ほど温度が高いこともある。国立成育医療研究センターも、大人の顔の高さで32℃の時、子どもの顔の高さでは35℃程度の感覚であるとして注意を呼び掛けている

ペットであれば、子どもよりもさらに地面に近いうえ、高温のアスファルトの上を裸足で歩いている。感じる温度もさらに2℃ほど高くなる

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地面からの高さと感じる暑さ
Huffpost japan/shino tanaka

日中に散歩に出れば、肉球がやけどして剥がれてしまうことも。ペットは言葉が分からないからこそ、熱中症の危険も見抜きにくい。

子どもの熱中症サインと注意点

子どもは、熱中症になっていても大人のようにすぐには伝えられないことが多い。注意点は次の点だ。

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子どもの熱中症
tora-nosuke via Getty Images

【1】こまめな水分補給

子どもが「喉が渇いた」と思ったり、伝えたりするときにはすでにかなりの水分が失われている。

喉が渇く前に少しずつ水分と塩分を補給することが大事。

《高温で運動をしているとき、脱水状態でない場合の水分補給》

9〜12歳…100~250ミリリットルを20分毎

思春期…1時間で1~1.5リットル

※補給するのは電解質などが含まれたイオン飲料が望ましい


【2】衣類の調節

通気性の良い涼しい服に。冷房との温度差もあるので暑さに応じて脱ぎ着できる恰好を。外出時には帽子が必須。

【3】こまめに日陰・屋内で休憩

子どもはアスファルトから近く、直射日光の照り返しの影響を大人よりも受けてしまう。日の当たる場所を避け、こまめに日陰や屋内に避難を。

【4】子どもの異変に気付けるようにする

子どもはなかなか言葉で伝えてくれない。熱中症になり始めた時には、元気に歩いていても顔が赤い、ひどく汗をかいているなどの異変があれば注意したい。

【5】ベビーカーを長時間日なたに置かない

ちょっとだけだからと油断は禁物。ベビーカーが日の照る場所に置くと温度が急上昇する。立ち止まる際は日陰で。

【6】こんな症状が出たら救急車を

特に、次の症状が出たときは救急車をすぐに呼ぶ必要がある。

・意識がない

・全身のけいれん

・体温が40度以上に上がる

・汗が出なくなる

犬の散歩は朝?夕方?屋内でも屋外でも注意を

犬の散歩は朝の7時よりも前の早朝の時間帯がいい。

日の照り返しが強い場所ではなく、風通しがよく日陰が多い場所を選んであげてほしい。

地表面に近い大気の科学によると、日没後すぐの時間帯は、地面の温度はあまり下がっていない。靴のない犬たちにとって、夕方は実は危険な時間帯。

朝や夜に散歩するときも、アスファルトにタッチして温度を確かめてから外出する。

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ペットの熱中症に気を付けて
elenabs via Getty Images

犬や猫は、汗腺がおもに肉球にしかない。そのため、人間のように汗をかいて体温調節することがあまりできない。

しかし、散歩も必要だ。外に出る際は、どのような症状に気を付けたらいいのだろうか。

福岡市獣医師会の公式サイトによると、次のサインが見られたら、速やかに処置をする必要がある。

・口を大きく開けて、ハァハァと息苦しそうに呼吸をしたり、よだれを大量に出したりする

・悪心や嘔吐、下痢

・一時的にふらついて倒れてしまう

これらは急激に体温が40度を超えるほどの上昇によって、引き起こされる。

熱中症がさらに進行すると、次の症状が出る。

・虚脱や失神

・筋肉のふるえ

・意識が混濁し、呼びかけにあまり反応しなくなる

・完全に意識がなくなる

・全身性のけいれん発作

・吐血や下血(血便)、血尿

・酸素をうまく取り込めずチアノーゼが見られる

最悪の場合はショック症状を起こし、命に関わることもあるという。
 
汗腺が人間のように多くない犬は、体温調節のほとんどを呼吸に頼らざるを得ないため、人間よりも高温多湿の環境に弱い。特に水を充分に飲めない場合は、熱中症になりやすい。

そのため、蒸し暑い日に車内に閉じ込めたり、閉め切った室内でクーラーや通気性のない状態で留守番させたりすることは危険な行為だ。

実は、エアコンをつけているからといっても油断は禁物。日のあたりやすい場所にケージを置き、移動できない場合には、エアコンの効きめが弱く、熱中症になることもあるという。

緊急の時は、とにかく水をかけて体を冷やし、すぐ病院へ

ペットの調子がおかしいと思ったら、まず意識の有無を確認する。なによりも急いで体温を下げることが重要だ。

【意識があるとき】とにかくすぐに体を冷やし、水分補給

・まず涼しい場所に移動。

・水が飲める状態であれば、水をたくさん飲ませて水分補給をする。

・冷水で濡らしたタオルを体にかけたり、風呂場や流し台で体全体に水をかけたりする。

・体温は下げ過ぎないよう、体温測定も忘れずに。

・39℃近くまで下がったら冷やすのをやめ、動物病院に連れて行く。

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意識がなくなったらすぐ体を冷やして病院へ
いらすとや

【意識がないとき】 身体を冷やして急いで病院へ

自力で水が飲めない状態になっているため、体温を下げながら動物病院へ一刻も早く向かう必要がある

水を体全体にかけるなどして体温を下げる処置をしながら、動物病院と連絡を取り、指示に従う。

意識がないことに慌てて、応急処置を何もせずに病院へ向かえば、途中で症状が悪化してしまう。移動中でも体を冷やすことを忘れてはいけない。

また、体温が下がって、見た目は平常に戻っていても、臓器がダメージを受けている可能性もあるので、病院で診察してもらうことが大切だという。