アメリカ・ニューハンプシャー州からびっくりな猫ニュースが飛び込んできた。
地元のストラサム警察署によると、署に勤めるマット・キャラハン巡査は7月28日、パトロール中に車を停めたところ、ものすごい速さのなにかが車の下を通り抜けたことに気が付いた。
よく見ると猫らしい。猫はすぐに隣の車の下を駆け抜け、向かいにあったバーガーキングに一目散に走っていったという。
すぐに保護せねば、と思ったキャラハンさん。迷子の子猫ちゃんを助けるのは世界共通でお巡りさんのお仕事だ。
でも、キャラハンさんはその猫の俊敏さ、そして威嚇の仕方や顔つきが、ちょっと普通の猫さんとは違うな?と疑問を持った。
そう、アメリカには鹿もサメも軽々ハントしてしまう最強のオオヤマネコ、ボブキャットさんが住んでいるのだ。
ハンター能力は高いものの、人間を恐れる臆病な性格。もしかして「ボブキャットかも…」と判断したキャラハンさんはすぐに魚類鳥獣保護局に連絡した。
万が一、このボブキャットさんが逃げ出し、ドライブスルーレーンや道路に侵入したら自動車とぶつかるかもしれない。
キャラハンさんはドライブスルーレーンに立ち、猫が来ないように見張りつつ、ドライバーたちに事情を説明した。
どこにいったんだ~?と目を凝らすキャラハンさん。
まもなく魚類鳥獣保護局の保護官も到着し、確保に乗り出す。だが、さすがはボブキャット。ササッと壁を登り、木を登り、人間たちを翻弄。
挙句の果てには、バーガーキングの屋根に上って遊んでいたかと思うと、優雅に昼寝を始めた。
ボブキャットさんがすやすやし始めたのを確認し、分厚い手袋で防御したキャラハンさんと保護官はバーガーキングの屋根にそっと上った。
そして、無事にキャラハンさんたちはボブキャットさんを保護した。
ケージに入った野生の猫はものすごい形相でこちらを威嚇している。そんな表情もなんとも言えず可愛いのだが、野生は野生に戻すのが一番。
ボブキャットさんは野生動物保護区に運ばれ、健康であると診断されたため、その後、無事に野生へ戻された。
州内で個体数が回復しつつあるボブキャット
ニューハンプシャー州の魚類鳥獣保護局によると、ボブキャットはニューハンプシャー州のすべての郡に生息しているという。
大きさは約70~125cm程度。重さは約7~16kgという。観察報告によると、この20年で個体数は増加している。
ニューハンプシャー州では、ボブキャットの狩猟が1809年から1973年まで続いた影響で、1970年代までに個体数が激減。1989年、魚類鳥獣保護局が個体数の維持のために生息区域の立ち入りを全面閉鎖した。
キャラハンさんがドライブスルーや車道のドライバーに事情を説明したように、ボブキャットの死因の大半を占めるのは車との衝突事故だという。