吉本興業の複数の所属タレントが反社会勢力の関与するパーティーに出演し、事務所を通さずにギャラを受け取っていた「闇営業」問題を受けて、同社の岡本昭彦社長らは7月22日、都内で記者会見を開いた。
同社から契約解除された雨上がり決死隊の宮迫博之さん(同日、岡本社長が撤回を表明)と、謹慎処分になったロンドンブーツ1号2号の田村亮さんが20日、独自に記者会見を開いて謝罪。加えて、週刊誌報道の一部については否定し、2人に対する岡本社長の圧力とも取れる言動について告発していた。
岡本社長・藤原寛副社長ら吉本興業側は2人が話した内容について大筋で認めた。一方で、いずれも誤解だった、あるいは圧力をかけようとする意図ではなかった、として釈明している。
2人が岡本社長から言われたと記者会見で訴えた3つの発言と、岡本社長の釈明をまとめた。
関係者以外を外に出し「テープ回してないやろな」
⇒冗談だった
【宮迫・田村の主張】
6月24日になって、宮迫ら関係した芸人たちと吉本の会社側とが協議し、田村さんが改めて会見を求めた。 これに対し、岡本社長は関係者以外を部屋の外に締め出した上で、「お前らテープ回してないやろな。亮、ええよ。お前辞めて1人で会見したらええ」と言ったという。
【吉本興業の主張】
「テープとってんちゃうの」っていうのは、僕的には、そのミーティングに参加をして、打ち合わせがなかなか進んでいなかったので、しゃべりづらいのか、環境が違うのか、なので、その4人(弁護士ら)に退出してもらって、僕1人と彼ら4人で向き合ったときに一つは冗談でテープとってんちゃうのんって。
そこに至る経緯が、そもそも彼らのもらっていないというところから始まったこと。その後もらっていることになったこと。会社としては全力でやりながらも、お互いに不信感があるなら、それはよくないと思いながら、そういう冗談といいますか、和ませるといいますか。
(岡本社長の記者会見発言より 2019/07/22)
「会見してもいいけど、全員クビ」
⇒身内の感覚で「ええ加減にせえ」と。
【宮迫・田村の主張】
その上で、(岡本社長は)こうも付け加えた。「やってもええけど、ほんなら全員、連帯責任でクビにするからな。俺にはお前ら全員をクビにする力があるんだ」
この一言により、その場にいた人たちは「全員何も言えなくなった」(宮迫さん)という。
【吉本興業の主張】
クビにするぞと言った経緯としては、24日のところのミーティングが膠着していた。スタッフ4人と彼らで話しているところに僕が入り、10分くらい聞いていた。
しかし、亮君は「会見したいとか、金額を言いたい」宮迫君は「まあまあそれはちょっと」とか。それぞれがリリース文章をどうするかなど、それぞれのことをずっと話をしていて、本当に大事なこと、反社の勢力からお金を取られた被害者がいるということが、そのやり取りで感じられなかった。
それで、いったん4人に出てもらって、僕のだめなところが、和ませようという半分、「テープ録ってんちゃうん」「自分らいい加減にしようよ」という話をする中で、不安な気持ちもわかりながらも、被害者の方への思いが伝わってこなかった。
それで家族というか身内というか、もうええ加減にせえと、そんなに個人ばらばらで言うんやったらもう勝手にせえと、それやったらもう会見するんやったら、全員クビやって言ったんですけれども、それが僕としては身内の感覚的なところ、思いが伝わらなかったことは僕が反省しなければならないところ。
僕自身は全くそういう(圧力の)つもりはなくて、その時だけを見ていると、彼らの会見したいとか金銭がいくらだとかを考えていなかったので、そのやりとりが悲しいというか、情けないというか、父親が息子に「勘当や」というつもりというかいい加減にせえということだったので、彼らが思っている距離感と僕が思っている距離感が違ったので僕は大いに反省しなければいけないと思います。
(岡本社長の記者会見発言より 2019/07/22)
「静観」発言
⇒「しっかり確認作業をしようと」
【宮迫・田村の主張】
会見では、宮迫と田村の2人が、会見を開きたいと再三にわたって吉本側に依頼をしていたことが明らかになった。ところが、吉本は「静観する」「時期はこちらで決める」などと答え、誠実な対応をしなかったという。
【吉本興業の主張】
静観という言葉を使ったかどうかははっきり言って覚えていない。
亮君から、お金を受け取っているらしいという話がありました。宮迫さんも他のメンバーも全員集まって一度話を聞こうと集まった。そのときにみんながお金を受け取った、亮君がお金を受け取ったという話しだった。宮迫さんの方は、自分は記憶は定かで無いがメンバーが受け取ったというので受け取ったという感じだったが、いままで聞いていたこととまったく違う答えだったので信じられない、びっくりする状況にはなっていた。そのときにこの件が発覚した状況で、各関係者さん、テレビ局さん、関わる企業さん他関係者のみなさんに謝罪も含めてご報告していた件とまったく違うことになるので、これからどうしようかという思いになっていたのは覚えている。
しっかり確認しないといい加減なことで報告するわけにはいかないという思いもあった。ちゃんと聞いて対応も含めて考えないといけないと考えると、静観というと、まったく動かない感じに聞こえるが、静観という言葉は使っていないと思うが、しっかり確認作業をしないといけない状況にはなっていた。
(藤原副社長の記者会見発言より 2019/07/22)