コンプレックスだった「22ヶ月もの暇な時間」が、ちょうどいい休み方を教えてくれた

前向きなことに取り組んでいたわけでもない20代の「名もなき休憩時間」があったからこそ、30代の仕事モード、そして、いまがある。
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「コンプレックスについて書いてみてください」。

普段なかなか考えることのないテーマゆえ、早速、その言葉の意味を調べてみると、「情緒的に強く色づけされた表象が複合した心理」「抑圧されながら無意識のうちに存在し、現実の行動に影響力をもつ」など。ふむふむ、なるほど。このコンプレックを自覚できると、無意識を意識できそうですね。

沖縄のホテルで、のんびりと海を眺めていた頃にやってきたこのテーマ。東京で忙殺されている時に向き合っては、なんだかへこたれそうなテーマも、南国でのそれはいささか余裕もって向き合えそう。ちょっと考えてみました。

しばらく自問して、浮き彫りとなってきたのがこの数字。

2004年7月~12月(約5ヶ月)

2006年3月~5月(約2ヶ月)

2008年12月~2010年2月(約14ヶ月)

2015年1月~2月(約1ヶ月)

合計約22ヶ月。

沖縄の澄んだ海に心を和ませていたら、一気に現実に引き戻されました。これは一体なんの数字かというと、仕事を辞めて何もやっていない時期。転職活動の時期とは言い切れず、「お休み中」と表現した方が実際にはしっくりきます。

2002年4月に新卒で就職して今年の春で社会人生活17年目。その間の22ヶ月の休憩なので、これが長いのか短いのか、人によって捉え方は違うかと思いますが、自分の両親の感覚からすると、「長すぎる」と怒られても仕方ありません。

また、その間、何か前向きなことに取り組んでいたかというと、そうではありません。特に20代の無職時代は、今後につながる何かを見つけようという意識に欠けていたかと思います。

高校のサッカー部に顔を出して一緒にボールを蹴ったり、電気網焼き機をベランダに運んでお肉を焼いたり、本屋に行ってスターバックスに行ってまた本屋に行ったり……。とにかく時間を余らせていました。

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無職仲間と狭いワンルームマンションで何かを焼いて食べる
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旅行に行くにも飛行機は使わず、もっぱら青春18きっぷで。大阪から札幌、東京から鹿児島まで。青春18きっぷは、時間があってお金がない自分にとって相性ばっちり。3000円のゲストハウスは高額。もっと安いドミトリーの宿を探すのが当たり前でした。なにせ、時間はあります。 

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寒い3月の五島列島福江島キャンプ場は、他に宿泊者がいなかった
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 貧乏旅行や用事があるなど、行動に何か名称のつくことがあれば良い方。とにかく、名前のない休憩時間を多く過ごしていたと思います。これでもかというくらいに暇でした。

その時期が反面教師となったのか、30代に差し掛かってから一気に仕事モードになるから面白い。きっかけは特にないと思います。シンプルに飢えていたのでしょう。

WEBニュース編集者として勤務している間は、5年間で数万本のニュースを編集。そして、傍らで執筆していたコラムは5年間で1000本となりました。転職して新規事業部の編集者として勤務しだしてからは、複数の企業でメディアコンサルを担当するように。コラム執筆も2000本近くに。そうなると、目の前の時間が、どんどんタスクで埋め尽くされていく。最近では、大学院に通いはじめました。

「そんな時間がどこに」と周囲から言われるくらいに忙しくなってきた30代の働き方。私の場合は、早朝が相性よく、この時間帯に多くのタスクをこなしています。

早朝に起きるためには準備は前日から。22~23時には就寝し、4時を目指して起きます。前日の夜にはメールやメッセンジャーの内容を確認しているので、その日の朝に何をすべきかある程度理解できています。なかなかこの時間帯に連絡がくることはないので、レス対応で仕事の手が止まることがないのがメリット。コーヒーを自分で淹れる余裕もあり、朝は仕事に集中しやすい時間と言えます。

早めにタスクを終われたら、少しランニングを取り入れることも。5~10kmの距離を走って、朝食をとって出社です。大学院の課題に取り組んだりもしています。

寝る時間が早いとはいえ、早起きはキツいこともあります。ですが、この生活を保てているモチベーションの源は、冒頭の“22ヶ月”にあるのではないかと思っています。同世代の仲間が、好きか嫌いかは別として、多くの時間を仕事に捧げていた20代の間、私は“名もなき休憩時間”に使ってきた。社会人として若い時期に得られる下積みの部分が、“約2年分”ごっそりと抜けている。そこで学んであろう、技術や人脈など、埋め合わすかのように今、焦りながら仕事に注力しているのです。

私にとってコンプレックスとなっているのは、名もなき休憩時間。「情緒的に強く色づけされた表象が複合した心理」「抑圧されながら無意識のうちに存在し、現実の行動に影響力をもつ」というコンプレックスですので、これに当てはまっているのではと。

20代と30代では、「ON」と「OFF」を明確に分けていました。ですが、このコンプレックスも40代になるタイミングで、少しカタチを変えて昇華しつつあるのが興味深いです。22ヶ月もの名もなき休憩時間を過ごしていた自分が、今では、「ON」と「OFF」を同時に行う「アクティブレスト(積極的休養法)」を採用するように。

もともとはスポーツ界隈のもので、疲れている時にあえて軽めの運動を取り込むのです。そうすることで、血流の改善を図って疲労物質の排出を促すのです。試合後に簡単なランニングやストレッチを入れるのはこのためですね。新陳代謝することで、フレッシュな状態のコンディションに戻し次の試合に挑むのです。

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カヌーやダイビングなどのアクティビティを取り入れるホテルも
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働き盛りのビジネスマンにとってパフォーマンスの維持は気になるところ。疲れを感じたら休養や睡眠などに十分な時間を費やすかと思いますが、ただ休むのではもったいない。ランニングや自転車、ヨガなどを取り入れるのです。忙しい世代だからこそ休憩時間の工夫。その方が結果的に時間を有効活用できるかと思います。

このアクティブを積極的に取り入れているホテルも増えつつあります。専門的なトレーナーから色々と指導を受け、普段はあまり意識していない姿勢や体のバランスを考える機会となります。

今回も、フィットネスセンターを利用して、「(猫背のため)左右で肩の位置が異なり、お腹に力の入っていない状態が固定されているので整えましょう」とアドバイスを受けました。普段からトレーニングするものの、細かな腕の角度やお腹の位置などが本来あるべきところからズレているんですよね。そんな姿勢の崩れを確認してもらいつつ、筋力トレーニングを1時間。

しっかりヒアリングしてもらった上で、一人ひとりに合ったメニューを構築してくれるフィットネスもあるので、程よい疲労感となんとも言えない達成感を得ることができました。

ただひたすら休んでいた20代から、ただひたすら働いていた30代へ。コンプレックスがあったからこそ、「休み」の捉え方が真逆になっていました。ただ、それも40代になることでアクティブレストを体験。ようやく“ちょうど良い”を見つけることができたようです。

「抑圧されながら無意識のうちに存在し、現実の行動に影響力をもつ」。ここまで言葉で整理することのなかったコンプレックス。こうやって向き合うことで、無意識ではなくなるので、もうコンプレックスではなくなったのでしょうか。いやはや。

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コンプレックスとの向き合い方は人それぞれ。
乗り越えようとする人。
コンプレックスを突きつけられるような場所、人から逃げる人。
自分の一部として「愛そう」と努力する人。
お金を使って「解決」する人…。

それぞれの人がコンプレックスとちょうどいい距離感を築けたなら…。そんな願いを込めて、「コンプレックスと私の距離」という企画をはじめます。

ぜひ、皆さんの「コンプレックスとの距離」を教えてください。

現在、ハフポスト日本版では「コンプレックス」にまつわるアンケートを実施中です。ご協力お願いします。