5、6月に国内各所で開催された「ファンタジー・オン・アイス2019」で、ロシアのトップスケーターであるアリーナ・ザギトワ選手のある演技が「盗作ではないか」と物議を醸している。
アメリカの人気ダンサー、ジョジョ・ゴメス氏が6月23日、自身のTwitterで「私のbad guyの振り付けが盗用されて全国放送された」と映像をつけて告発。
約10時間でその映像は27万回以上再生された。
ザギトワ選手は、今シーズンのエキシビションの曲にビリー・アイリッシュの「bad guy」をチョイスした。ザギトワ選手の振り付けは、ダニイル・グレイヘンガウス氏が担当している。
5月18日、ダニイル氏はザギトワ選手と一緒にInstagramでこの曲を使うことを公表し、ファンからは期待の声が上がっていた。
その後、「ファンタジー・オン・アイス2019」ではこの曲に乗せ、へそ出しの赤いスウェットシャツに黒のダメージパンツルックで登場。
演技の途中、スウェットシャツに噛みついて捲し上げるようなしぐさがあった。
ビリー・アイリッシュのミュージック・ビデオにはこのような振付は使われていない。
だが、告発したジョジョ氏は、カリフォルニア州ロサンゼルスにあるダンススタジオ「ウェストコートダンスシアトル」で、4月に独自で「bad guy」に合わせた振付を踊り、YouTube上で披露していた。
そこには、ザギトワ選手と同じくうつろな目でスウェットシャツを噛みながら捲し上げ、右手で左腕をタッチしながら顔まで手を伸ばし、首をひねるようなポーズの振付があった。
ジョジョ氏は、ザギトワ選手の振付を担当したダニイル氏に向けて「ダニイル・グレイヘンガウス、私の作品がこんなにもあなたをインスパイアしたことはうれしい限り。でも次は盗む代わりに私を雇って、私のための日本行きの航空券を予約してね」と怒りをあらわにしていた。
ただ、ザギトワ選手に対しては「この投稿は決してアリーナ(ザギトワ選手)に向けたものではないです。彼女は非常に才能のある、美しい人。私は彼女にダンスと振付を教えたい。けどね、彼女のコーチ(ダニイル氏)がしたことは許容できないし、プロの行為とは言えないものでした。大人同士の問題」とつづった。
このInstagramの投稿と、直接の抗議に対しダニイル氏はジョジョ氏の主張を認め、その後クレジットに彼女の名前を加える手続きを取ったという。
ジョジョ氏は投稿に対するファンのコメントに答える形で「彼は(振付の)クレジットに私を入れて、謝ってきました。私が抗議した後にね」と語っている。
ジョジョ・ゴメス氏はどんなダンサー?
ジョジョ・ゴメス氏は、1993年生まれの25歳。
ニュージャージー州フェアビュー出身で、幼いころに見たブロードウェイミュージカルに憧れてダンサーを志した。
2011年、高校卒業と同時にロサンゼルスへ飛んだ。オーディションを突破して、ビデオ・ミュージック・アワードでブリトニー・スピアーズのバックダンサーを務めた。
このほか、人気オーディション番組「The Voice」ではジャスティン・ビーバーと共演。
キレのいいセクシーな振付に高い評価を得ており、2014年には自身のYouTubeアカウントを作成し、ダンス投稿を始めた。ビヨンセなど好きなアーティストの音楽に合わせて振付した動画を投稿していた。
この動画の人気が高まり、アーティストたちからも注目が集まった。
ティナーシェやバックストリート・ボーイズの振付を担当するまでになった。Instagramはフォロワーが約130万人、YouTubeも約132万人にチャンネル登録されている。