男女が共に子育てに取り組む社会のため、自民党の有志議員は5月23日、男性の育休「義務化」を目指す議員連盟の発起人会を党本部で開催。約50人の議員が参加予定で、6月5日に設立総会を開く。
議連で検討するのは、企業に対して、申請がなくても子どもが生まれた男性すべてに育休を付与するという案。最低でも3週間〜1カ月の育休や、時短勤務を男性が今より取得しやすくなることで、少子化対策や女性活躍につなげるのが狙いだ。議員立法での法案提出も視野に入れるという。
会では、会長に就任が予定されている衆院議員の松野博一・元文科大臣が発起人代表として挨拶。「義務化というのはショッキングかもしれないが、意図するのは、男性が育児に参加するという男性・企業・社会の意識改革を進めること」と話した。
松野氏自身は、娘が生まれた時に「幸か不幸か落選中」だったため時間があり、3年数カ月間、子育てに関わることができたというエピソードも披露した。
そして、その経験は「人生の中で一番の思い出。公園の前を通ると、ここで遊んでいたなと思い返します」とし、「社会的意義はもちろん、男性に個人としての大切な財産にしていただきたい思いもある」と話した。
また、企業に対しては「優秀な人材を集めるため、企業の多様性・生産性・グローバルでの付加価値を高めるために、意識会改革はむしろ企業にとっても大切なこと。個人・企業・社会にとっても有用だということをみなさんと研究しつつ発信したい」とした。
その他、発起人会には参院議員の松川るい氏、森雅子氏、衆院議員の和田義明氏らに加えて、賛同する約20人の議員らが出席していた。
民間からも、ワークライフバランス代表の小室淑恵氏、産婦人科医の宋美玄氏、「みらい子育て全国ネットワーク」の天野妙氏ら、この問題に取り組んでいるメンバーが出席した。
宋美玄氏は「女性は出産後、身体が傷つき、ホルモン分泌も減ることで大変過酷な育児がスタートする。男性が出産時の付き添いだけでなく、一緒に育児を始められるように、育休を取得できる社会に」と話した。
改正育児・介護休業法が施行された2010年に1.38%だった男性の育休取得率は5.14%(2017年度)まで伸びたものの、「2020年までに13%」という政府目標にはほど遠い。
新入社員の男性の8割以上が育休取得を希望している。一方で民間シンクタンクによる調査で、正社員男性が育児休業を取得しなかった理由として、最も多かったのは「職場の雰囲気」だった。議連では「義務化」によって、この雰囲気を変えることを狙いとしている。
会終了後の記者会見で松野氏は、出席議員から「中小企業にとっては負担が大きいのでは」という声があったと明かし、「企業に対するサポートも検討していきたい」とした。どのように取り組むかも含めて議連で検討するという。