「銭湯初心者をきつい言い方で叱らないで欲しい」京都の老舗銭湯が常連客に出した異例のお願いに反響続々

常連客、銭湯初心者、そして増える外国人観光客。それぞれが銭湯を気持ちよく楽しむために必要な事とは?店主に聞いた
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「京都 玉の湯」
「京都 玉の湯」公式サイト

京都にある銭湯「京都 玉の湯」が5月10日にツイッターに画像付きで投稿した「常連様へのお願い」という掲示がネット上で話題となり、反響を呼んでいる。

投稿は、5月14日午後3時の時点で4万3千以上リツイートされている。

ツイートは「届け!!!銭湯経営者全員の願い」という文言と共に、”常連様へのお願い”と題した画像が掲載されている。

そこには、「一見さんや若い方の中には浴場マナーを理解されていない人もおられます。しかし多くのケースでは、そこに悪意はありません。ただ経験が少ないだけです。きつい言い方でしかるのではなく、やさしく注意していただくか、番台に声をかけて頂けると有り難いです。どうかご理解の程よろしくお願いいたします」とのメッセージがあった。

このツイートに対して、銭湯を利用したことがあると思われる人々から多くの反応が寄せられた。

「家の近くに銭湯あるけど常連さんの監視するような目線が苦手。 全然気が休まらないし揉めたら嫌だなって思うと全然足が向かない。 備品の使い方とかは少し案内表示があると助かりますね。 こうやって使うんだけど使ったらこうしてね。とか」と意見する人や、「地域によって細かい暗黙のルールはありますが、この伝え方の問題って本当にあるあるだと思いました」などと、注意の仕方を問題視する声もあった。

利用客だけでなく同業者や元同業からは、「うちのスパ銭(スーパー銭湯)でもあります… 常連有難いけどちょっと困る… 全部の常連さんがそういう訳ではないんですが… 」、「気に入ってくれたのに常連さんがキツ過ぎて、別の所に行くなんて言われたことが」などと、一部の常連客に対する苦言が集まった。

「みんな、最初は初心者なんだから」

 常連客へのお願いを掲示しツイッターで発信した店主の西出英男さんに投稿した意図や思いを聞いた。

「まず、これだけの反響になったことに驚いています。それだけ、共感というか同じことを思っている人が利用客も経営者も多いんでしょうけど...」

「うちでは、来てくれた人が誰でも書き込めるノートを置いているんですが、そこに、銭湯初心者の方から『常連さんからの注意がきつい』などという書き込みが多くあったんです。それらを見ていて、日頃思っていたことを文字にしました」

「店の売り上げ的なことを考えても、若い人や初心者が来てくれるのは喜ばしいことだし、逆に来てもらえないとそれはかなりの打撃になりますからね...」

「ただ、正直このツイッターでの盛り上がりもあまり好ましくないんです。だって、常連さんがいるから成り立っているところは間違いなくある。これからも常連さんとも上手くやっていきたいんです」

「みんな、最初は初心者なんだから...常連客の人は、注意するなら伝え方を柔らかくしてもらって、初心者の人は決められたマナーを守るようにする。共に歩み寄ることだと思います」

外国の方々にも銭湯を楽しんで欲しい「うちもタトゥーOK」

外国人観光客の増加に伴い、全国の温泉地や銭湯などで議論になっているのが、体にタトゥーが入っている利用客の入浴を認めるかという問題だ。

外国人宿泊客が360万人を超える、日本を代表する観光地・京都ではどのような対応がされているのか、店主に聞いた。

「かつてはタトゥーを禁止しようとしたこともありましたけど、今では組合(京都府公衆浴場業生活衛生同業組合)の中でもほとんどの銭湯がタトゥーでの入浴が可能ですから、うちもそれに合わせています」

──外国人利用客のマナーはいかがでしょうか?トラブルなどはありますか?

 「銭湯を巡るトラブルの中で一番多いのは、かけ湯をせずに浴槽に入ることなんですが、欧米の方々は私が見る限り、体を洗ってからお湯に入るというのが習慣化されている感じがします。いろんな声があるようですが、マナーを守っている人もきちんといます」

「その上で、外国人の方々が銭湯に来てくださった時は我々も様子を気にかけるようにしています。例えば何かおかしな動きがあったり、入浴の仕方がわかってなさそうと感じたら、都度対応ですね」

──常連さんは、外国人に対しては注意しているのでしょうか?

「語学の壁があるので、注意したくてもちょっと諦めているという感じだと思います。京都という場所柄、外国の方々にも来てもらえるのはありがたいので、ぜひ銭湯を楽しんで欲しいです」

常連客、銭湯初心者、そして外国人。それぞれが互いを理解し合い、伝統的な銭湯文化を楽しむ。そのためには、「声の掛け方」にも工夫が必要なのかもしれない。

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「京都 玉の湯」
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