乃木坂46の生田絵梨花が菊田一夫演劇賞を受賞 「セカンドキャリアとしての選択肢を新たに作った1人」と専門家は分析

「生田さんの活躍は一つのモデルケースになった」時代とともに変わる「アイドル」の存在を紐解く。
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乃木坂46の人気メンバー・生田絵梨花さんが、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家などに贈られる第44回菊田一夫演劇賞で「演劇賞」を受賞したことが、4月4日分かった。

2018年5月から6月にかけて上演された「モーツァルト!」のコンスタンツェ役、2019年1月に上演された「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」のナターシャ役の演技がそれぞれ評価された。

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ミュージカル「モーツァルト!」の製作発表会で、劇中歌「ダンスはやめられない」を披露する、モーツァルトの妻コンスタンツェ役を演じる乃木坂46の生田絵梨花=2018年2月15日、東京都港区
時事通信社

生田さんが受賞した菊田一夫演劇賞は、日本の演劇界の発展に貢献した劇作家で演出家の菊田一夫氏の功績を後世に伝えるなどの目的で創設された演劇賞で、過去には故・森光子さん、市村正親さん、松本幸四郎さんなど著名な俳優らが受賞してきた。

生田さんは、乃木坂46の1期生として、2012年に1stシングル『ぐるぐるカーテン』でデビュー。アイドルとして活動しながら、2014年に上演された『虹のプレリュード』で主演を演じて以降、『レ・ミゼラブル』や『モーツァルト!』などの作品で主要キャストとなり、ミュージカル俳優としても活動の幅を広げた。

アイドル評論が専門の高倉文紀さんは、生田さんが今回、菊田一夫演劇賞を受賞したことについて、このように語る。

「受賞の影響は非常に大きいと思います。これまでは主に乃木坂46や生田さんのファンが、彼女のミュージカル女優としての活動を応援していたし、世間的にも『アイドルがなんだか舞台もやっている』というような見方もありました。ただ、この賞を受賞したことは、演劇関係者やいわゆる演劇界の内部の人間に演技や歌唱が高い評価をしっかりと受けたことになる。ますます舞台女優としての活動は増えてくると思います」

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アイドルグループ・乃木坂46メンバー
(デビュー曲「ぐるぐるカーテン」を初披露する。東京・港区)2012年1月12日撮影
時事通信社

さらに、今回の受賞がアイドルの後輩たちに及ぼす影響が大きいと高倉さんは話す。

「彼女がアイドルをやりながら舞台でも成功を収めたことで、彼女に続く後輩たちにも道が作られました。いま、アイドルグループは変化の時を迎えています。初期のメンバーが卒業し、新加入のメンバーが続々と入ってきている。そのような中で、生田さんの活躍は一つのモデルケースになったでしょう。彼女はまだグループを卒業していませんが、いずれはその時が来る。アイドルとしてデビューし活動してから舞台女優になるという、卒業後のセカンドキャリアとしての選択肢を新たに作った1人として、彼女の功績は大きいと思います。」

「舞台女優以外にも、例えば表舞台に出る活動で言えば、日本テレビの市來玲奈アナウンサーやテレビ朝日の斎藤ちはるアナウンサー(どちらも、元乃木坂46)のように、最近はアイドルから放送局のアナウンサーになるというキャリアが最近は増えています。そういう意味では、今のアイドルは活動をしながらも次を見据えたキャリアを考えていかなきゃいけない時代に変化していると感じます」

新旧メンバーの入れ替わりが激しく、過渡期を迎えている今のアイドル界。アイドルのあり方も、時代に合わせて変わりつつあるのだろうか。