徳島市中央卸売市場で3月7日、巨大なブリが目撃された。
通常、養殖では5kg程度のブリ。だが、この日市場にいたブリはなんと25kgで、5倍ほどの重さだったのだ。
市場で仲卸業をしている徳島魚類有限会社が、その様子をTwitterで投稿。担当者も初めて目撃したといい、その大きさに思わず「しかしブリってここまで大きくなるものなのね」と動揺した様子をつづっている。
徳島魚類によると、当日徳島へ入ってきた巨大ブリは6本あったという。他のマグロと並んでも見劣りしない立派な体型で、一番大きなブリが25㎏あった。
このブリは三重県のマグロ養殖いけすから水揚げされたもの。
養殖マグロは、数百匹が泳いでいる巨大ないけすの場合、注文が入るごとに数十匹を水揚げすることが多い。
だが、今回はマグロの数が少なくなってきたため、いけすの網ごと水揚げ。
すると、マグロしか養殖していないはずのいけすからまるまると太ったものを含めて、ブリが100匹ほど確認されたという。
ブリを養殖するときは、エサなどのコストがかかるため、5㎏程度になると市場に出回っていく。
徳島魚類の一新太郎常務は「正月などの祝いの日のために、10㎏程度の大きさまで育てたブリが出荷されることもありますが、そんなに数はない。だからあの大きさはまず見ることはなく、驚いた」と話した。
マグロのいけすでタダ飯を食い、ゆっくりと成長を続ける
徳島魚類によると、こうした養殖のいけすにほかの魚が紛れ込むことは珍しくないという。
「タイのいけすに入り込んで太ったアジやサバが、時期によって毎日のように市場に出回ることもある」といい、今回も出世前の小さなうちに網目をかいくぐり、エサをもらっているうちに太って出られなくなったとみられる。
25㎏級に育てるには6年ほどかかる可能性があるという。
ここまで大きくなったということは、数年間はタダ飯にありついていたということだ。
マグロのいけすに勝手に上がり込み、そのままマグロのエサを横取りして成長。運よく水揚げされることもなく肥えたが、このたび網ごと回収されて食卓に上がる羽目になった。
出世魚ブリ、最終形態になっても成長し続けたお味は…
関東では、小さい方から順にワカシ、イナダ、ワラサと呼ばれ、ブリとなる。関西ではツバス、ハマチ、メジロとなり、70~80cmほどでブリへ至る。
大きくなるにつれて名前が変わっていくため、「出世魚」と呼ばれ、縁起の良い日にお祝いで食べられることもある。
ブリは5㎏ほどで市場に出回ることが多く、天然のブリでは10㎏ほどのものも売られるという。
通常のブリになっても名前は変わらずブリのまま。
気になるお味について、徳島魚類の一新太郎常務は「今回のいけすから同じように出てきた20㎏級のブリをしゃぶしゃぶにして食べる動画が、三重のほうから送られてきましたが、筋張ってもおらず身はとてもきれいで大変おいしそうでした」と話した。