地震リスクを根拠にした大飯原発差し止め判決に"揺らいだ"昨日の報道ですが、これまた同じ日にメディア業界の人間にとって、首都直下地震並みのFA宣言ニュースが飛び込んできちゃって、常見のアニキが大嫌いな「意識高い系」界隈の方々がもうネット空間でお祭り騒ぎになっているわけであります。はい。この記事です。「東洋経済オンライン佐々木編集長、ニュースピックスへ - 朝日新聞デジタル」。
記事で取り上げられた人も、書いた人も知っているし、共にすごいお世話になっているので、筆がいつものように豪快に進まないんですが、なんだかんだ「画期的」な話であることは確かなので書いておかなければメディア界隈に生息する人間としての使命感といいますか。。。え?「いますぐこれをアゴラに書けばヤフトピを狙える」だって?静かにしなさい。誰ですか、私のような偽善者ブロガーにそんな野暮なことを言っている某ネット企業の広報さんは。
東経オンラインの編集長交代の一報が入ったのは昨日(21日)お昼のこと。知人がFacebookでシェアして察知したのだが、この手の人事リリースの「定型」である現職の転出先、つまり佐々木さんの異動先が書いてなかったから、私の知り合いの間で瞬く間に憶測が飛び始めましてね。新編集長さんは優秀な記者さんとの評判だったものの、下世話な我々は大変失礼なことに佐々木さんの次のポジションについてあれこれ詮索しておりました。一応、東経オンラインで現在連載中の「野球イノベーション」の仕掛け人としては、業務連絡がてら確認する権利もなくはなかったんですが、ゴリ押しできずに改めて自分の気弱さを思い知った次第。その間に古田さんはとっとと取材して記事にされてしまい、さっさと記者を辞めた私とはケタ違いの取材力を見せられました。はい、古田記者は先日の朝日新聞デジタルで佐々木さんのインタビュアーを務められています。
もっとも、アゴラでも以前書いたように、先月の東洋経済オンラインのイベントで佐々木さんが欧米のメディア界のスタートアップの動きを仕切りに強調されていたんですよね。シンポジウムでも「ネット業界参入しろ」ってもうプッシュしまくりで。それでヤフーのエライさんがその煽りをスルーしちゃって肩すかしだったんですが、その時点で佐々木さん自身の思いを垣間みたのは正直なところでした。すでに私の古巣の記者からは「有言実行の人だ」と激賞するメールが入っております。
勝算のあれこれについては、ご本人はもちろん、田端さんとか藤代さんあたりが私なんぞよりも精密なブログを書くはずなので、それをお楽しみに。あと背景については、古田記者が深夜に解説記事もデジタル版でアップしております(続きは会員でないと読めないけど)。僕からは2つ。佐々木さんの記者・編集者出身者にしては卓越したマーケティング能力と、新しい著者を掘り起こそうとする探究心に注目している。前者についていえば、「日経新聞の反対側のポジションを徹底的に追及する」という戦略で、既存メディアが重視する経団連系のオールドエコノミーではなく、新経連を筆頭にベンチャーなどニューエコノミーに活路を求めたのが若い読者の関心を集めることに成功したわけです。それで新しい業界から書き手を探すとなると、他のメディアにも出ていない面白い人を見つけてくるわけです。こういうところは編集者の古き良き時代の良さで飲み歩きまくってでも捕まえてくる。それがムーギー・キムさんであり、スーパー高校生(当時)Tehuくんであり、ウォンテッドリーの自称美人社長、仲さんだったりするわけです。
こうした方々に遠く及ばずながら、実は、私も「拾っていただいた」一人です。数々の出版社の編集者に「ネット選挙の本は売れねー」「お前なんかはゴーストライターどまり」だとバカにされて、落ち込んでいた私が持ち込んだ企画に、「これは面白いじゃないですか」と言っていただきました。ネット選挙の本って実際売れていなくて、他社のヘッポコ編集者が「ネットの話なんて山手線の中でしか売れないので本は出せない」と、こき下ろした企画に対し、佐々木さんは「山手線の中の人たちはこれからの日本を背負っていく人たちなのだから、まずは彼らに届けばいいじゃないですか」と励ましてくださいました。いまこれを書いていて思い出しても涙が出るくらい、感激しましたね。あの日のことは書き手として一生忘れません。結局、出版企画こそ実現しませんでしたが、政治・メディアのイノベーションを問うネット選挙三部作として東経オンラインで日の目をみました。
先に大手メディアを辞めているとはいえ、私ごときと比肩するのもおこがましいのですが、佐々木さんが選んだ新天地への道は茨だと思います。東洋経済の冠が取れた中で、コンテンツを作る人間をどれだけ集められるかがカギではないかと、某新聞社の記者さんとさっき話しておりました。たぶん先月の発表会に来ていた電通や博報堂の人たちが蜘蛛の子を散らすように去っていくのか、それとも投資してみようと引き続き付き合うのか。たとえ、彼らが去ったとしても私は拾っていただいた「恩」がある。超微力ながら、私も何かお手伝いできることがあれば、させていただきます。
あ、もちろん広報コンサルタント&コラムニストとしては引き続き、東洋経済さんにもご贔屓願いたく m(__)m
まー、とりあえず、今回のニュースに我が事のように勝手に浮き足立っている私を含めた意識高い系の皆さんは常見のアニキにまたお叱りを受けると思いますので、重々ご自重を。あー、しかし、いーなー、オレもどっか雇ってくれないかなー(泣)オレも電撃移籍してー。え?お前は移籍先を破壊するだけじゃないかって?うるさい。ではでは。なんか、今回は興奮の余り、まとまってなくてスイマセン。