神奈川県の相模原市にある大規模分譲マンションで行われる管理組合総会において、スマートフォンや携帯電話、パソコンによる電子投票を正式導入し、3月9日に実施されるそうです。大規模マンションでの正式運用は、日本初の取り組みです。
大阪のグラントが開発した電子投票システムの「e投票」は、マンション管理組合総会前の出欠連絡や議決権の行使、委任が簡単に行え、総会会場でも、挙手せずに意思表示ができる投票システムです。
総会主催者側も、資料などのコスト削減、集計のリアルタイム性、投票の正確性など、定期総会の準備業務の効率化などが図れるとのこと。学術学会や協同組合、人気投票といった各種団体の使用にも対応しているという。
海外においては、エストニアなどの一部の国で国政選挙などの大規模選挙で電子投票が実施されていますが、日本国内においては、選挙における電子投票制度の導入は一般的に広がっていません。2002年に6月に、岡山県新見市長・市議選において全国初の電子投票の実施され、延べ20ほどの地方自治体において実施されてきたましたが、機器のトラブルや自体対の財政負担の懸念などから本格導入になっていないのが現状です。
民間から、電子投票に関する取り組みを行いながら市民側の心理的不安を解消していくと同時に、個人情報などのセキュリティ面を強化していきながら、少しづつ事例を作っていくことが大切です。そうした意味でも、マンションにおける総会などの、ある程度顔が見える関係性がすでにあるコミュニティから事例が作れるかもしれません。
執筆者:江口晋太朗
1984年生まれ。福岡県出身。編集者、コンテンツディレクターとして、執筆活動や情報設計や情報環境デザインをもとにしたコンテンツ企画制作やプロデュース等をおこなう。コミュニケーションデザインや場作り、ファシリテーションをもとに、情報・環境・アート・デザイン・テクノロジーなど、ジャンルを超えた様々な分野を横断しながら、「環境の編集者」として、より良い今と未来を作る活動を行なっている。著書に『パブリックシフト』など。
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(2014年3月3日の「マチノコト」より転載)