JR宝塚線脱線事故から15年 遺族ら密集避けて祈り
乗客ら107人が死亡、562人が重軽傷を負ったJR宝塚線(福知山線)脱線事故は25日、発生から15年を迎えた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、事故翌年から続いてきた追悼慰霊式は中止に。「祈りの杜(もり)」として整備された兵庫県尼崎市の事故現場には、遺族や負傷者らが密集を避けるため時間をおいて訪れ、祈りを捧げた。
JR西日本の長谷川一明社長は午前7時半、役員たちと現場で献花した。事故後に入社した社員が過半数を占める現状を踏まえ、「私をはじめ15年前の事故を経験した人間が、遺族や負傷者の癒えることのない痛みをしっかり伝え、安全性向上に取り組んでいく」と話した。
発生時刻の午前9時18分ごろには、現場カーブを快速電車が通過。車窓から現場に向かって手を合わせる乗客の姿もあった。
JR西は新型コロナウイルス対策として、20~30日の間は祈りの杜を閉鎖。遺族や負傷者については、日時をずらして個別に案内するなどしている。
事故で一人娘の中村道子さん(当時40)を亡くした藤崎光子さん(80)も現場を訪れた。取材に「コロナが怖くていつもは自宅で過ごしているが、4月25日だけは現場にいたいと思って来た。15年は長かったけど、まだJRに不信感はある。何よりもまず、安全で安心して利用できる鉄道事業者になってもらいたい」と話した。(狩野浩平)
(朝日新聞デジタル 2020年04月25日 11時11分)
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