「夜の街」で働くシングルマザーに食料を。ボランティア団体、“社会的な支援”の届きにくさを指摘

「夜の世界で働く人には社会的な支援が届きにくく、当事者も支援の対象かどうか分からないと思ってしまう」
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祐一さん(左)と菜摘さん
福祉新聞

夜の街で働くシングルマザーらに食品を無料配布するフードパントリーが月1回、埼玉県川口市で開かれている。3回目の開催となった7月5日は、29世帯(88人)に市や企業などから寄付された米、缶詰、乾麺、菓子、飲料などが手渡された。子ども用に七夕の笹と飾りや、支援制度のガイドブックも配られた。 

 

 この活動を行うボランティア団体「ハピママメーカープロジェクト」の代表、石川祐一・菜摘夫妻も夜の街で働いている。祐一さんは「夜の世界で働く人には社会的な支援が届きにくく、当事者も支援の対象かどうか分からないと思ってしまう」と言う。

 

 当初は託児サービスなどのシングルマザー向けの支援活動を計画していたが、新型コロナウイルスの影響による休業で生活が困窮しているといった相談を受け、子ども食堂などの支援を得てフードパントリーを始めた。

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段ボールいっぱいの食品が配布された
福祉新聞

食品配布を受けるには事前の申し込みが必要だが、身分証明などは求めていない。初回から申し込み者は1・5倍に増え、愛知県や大阪府からの問い合わせもあったという。

 

 小学1年の子どもがいる30歳のシングルマザーは「今は夜の仕事を休んでいる。学校が休みだった時は、3食作るのは大変だった。お金もかかるので助かる」と話す。

 

 会場では社会福祉士が気軽に相談を受けたり、以前、夜の街で働いていた女性がボランティアスタッフとして参加したりしている。

 

 祐一さんは「夜の仕事の人を排除するのではなく、誰でもいつでも、困っている人を助け合う支援の輪をつくっていきたい」と話している。