サッカーイングランドプレミアリーグのアーセナルに所属するメスト・エジル選手が13日、Twitterに中国の新疆ウイグル自治区におけるウイグル人への人権侵害があると批判する投稿をした。ウイグル人問題に批判が集まることに神経をとがらせる中国政府は、外務省の報道局長がエジル選手の批判をするなど、影響が広がっている。
中国西部に位置する新疆ウイグル自治区は、トルコ系民族でイスラム教を信仰するウイグル人が多く暮らす。1990年代以降、中国からの独立を求める運動がたびたび起こり、中国政府は警戒を強めている。近年では、多くのウイグル人住民を「再教育施設」に収容しているなどとして、国際的な批判を受けている。
トルコ系ドイツ人で、自身もイスラム教徒であるエジル選手。13日の投稿では、次のような内容をトルコ語で綴った。
「コーランは焼かれ、モスクは閉鎖され、イスラム神学校は禁止させられ、イスラム学者が次々と殺されている」
「兄弟たちが強制的に収容施設へ送られている。彼らの代わりに中国人男性が家族に入り込んでいる。姉妹たちが中国人男性と結婚を迫られている」
「それにも関わらず、イスラム教徒たちは沈黙している」
「ここ数カ月もの間、西側メディアや西側諸国ではこの問題がアジェンダになっているのに、イスラム諸国やメディアではどうか」
メッセージの背景には、新疆ウイグル自治区の独立運動の象徴でもある「東トルキスタン旗」があしらわれている。
こうした発言に中国政府は態度を硬化させている。国営放送の中国中央テレビは、15日に生中継予定だったアーセナル対マンチェスター・シティの放送を取りやめたほか、朝日新聞やAFP通信によると、中国外務省の耿爽副報道局長は16日の定例会見で、「(エジル選手は)フェイクニュースに欺かれている」「機会があれば新疆を見て回ることを歓迎する。是非をはっきりさせれば、彼にも違った新疆が見えるだろう」などと批判した。
一方で、こうした対応にアメリカのポンペオ国務長官は18日、Twitterに「中国共産党はウイグル人やその他の宗教的信仰に対する人権侵害を世界に隠すことはできない」と投稿。中国政府の対応を批判した。