結婚はゴールじゃないからね。LiLiCoが47歳で再婚して辿り着いた家族

好評連載 第5回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
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Yuko Kawashima
LiLiCoさん

スウェーデンと日本と、ふたつのアイデンティティーを持つタレントのLiLiCoさん。

30年前に来日して以来、独自の視点で日本を見つめ続けてきたLiLiCoさんが、世間を騒がすイシューからプライベートの話題までホンネで語り尽くす本連載。

今回のテーマは、「結婚観」です。

離婚や再婚、ステップファミリーが当たり前の国からやってきたLiLiCoさんは、離婚を経て、2017年にスーパー銭湯アイドル「純烈」のメンバー小田井涼平さんと結婚。幸せな結婚生活を送っています。

いまは「結婚」について、どんな考えを持っているのでしょうか。2019年7月にスウェーデンで挙げた結婚式についても、話してくれました。

 

47歳で2度目の結婚をした理由

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Yuko Kawashima

日本にはいまだに「家庭を持って一人前」「結婚したら一生その人に添い遂げる」みたいな昔からの考え方がありますよね。

でも、そんな前時代的な考え方って古い。遅れてると思います。

女性も男性も、結婚したい人もいれば、結婚せずに仕事だけしていたい人もいます。離婚をしたり、再婚したりする人もいます。そのカップルが「子どもができたら籍を入れる」って決めていたなら、授かり婚もおかしくない。

結婚が早くたって遅くたって、個人の自由。結婚したいタイミングですればいいし、そもそも結婚はゴールじゃないからね。

私は一度離婚を経験して、47歳で純烈の小田井涼平さんと二度目の結婚をしています。 

いわゆる「晩婚」だけど、私自身は「早く結婚しなくちゃ」と焦っていたわけではないの。結婚したいと思えるほど尊敬できる相手に出会ったから、結婚したんです。

 

何かあったときに守れる? 結婚する意味 

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Yuko Kawashima

結婚相手って、お互いに守り合うもの。私はいつも「何かあったとき、この人を守れるのかな?」って考えている。

プライベートだけじゃなくて、公の場でも相手を守りたい。うちは二人とも表舞台に出る仕事だから、相手について尋ねられたときに、その気持ちを代弁できることが大事。

パートナーとはいえ他人だから、共感できなくてもいいと思うの。でも、相手の気持ちを上手に伝えられるようにはしないといけないよね。

2019年は、純烈にいろいろなことがあった年。私も落ち込んだりしたけど、テレビで申し訳なさそうにしていても仕方ないから、何もなかったように振る舞っていました。一方で、純烈の話を聞かれたときは、彼の思いも含めてしっかりと説明できるようにしていました。

私はバラエティに復活した時期だったので、少しでも彼を表舞台に引っ張り出す機会につなげられればとも考えていましたね。

反対に、私も今までにないぐらいに守られていると感じるのよ。

例えば、結婚したときに、純烈のファンの方で私のことをよく思わない人もいたのね。でも彼が舞台で、「俺のことは悪く言ってもいいけど、LiLiCoのことは言うなよ」って話してくれたらしいの。すごくうれしかったですね。

 

私が夫を「主人」と呼ぶわけ

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Yuko Kawashima

夫のことは、外では「主人」と呼んでいます。「旦那」って、昔はお店の得意客相手にも使っていたらしいし、何より稼ぎはどうあれ、私は我が家のメインの人であるというマインドを夫に持っていてほしいから。

二人きりのときは「パパ」。お父さんとお母さんになりたかったので、彼が「お父さんになる」というマインドになるように、彼の啓発活動の意味を込めて、「パパ」と呼びはじめたの(笑)。

もう一つの理由は、彼の芸名である「涼平」も本名も発音しにくいから。スウェーデンを母国語とする私だからこその理由ね。

私たち夫婦は、私が母のように彼の面倒を見る関係です。もともと、誰かの面倒を見るのが好きなんですよ。それに、ライフスタイルにも仕事にもこだわりがあるし、リスクを取りたくないから、人に任せるのが苦手。

だから、今の日本ではさまざまな形の夫婦があるけど、私はこういう結婚生活がしたいタイプ。もちろん結婚前に彼とも話し合っています。

例えば、私は毎朝、彼よりちょっと早く起きて朝食を作って、彼を起こして、一緒にご飯を食べて、仕事に送り出しています。

これは万が一、寝坊や遅刻をして純烈のメンバーやスタッフ、ファンの人に迷惑をかけたくないから。彼が何時に寝ても、寝なかったとしても、やらないと私の気がすまないんですよね。一緒に食事するのは、話す時間を作りたいからでもあるけど。

ファンに「かっこいい」と思ってもらいたいから似合いそうな服を買ってきますし、(手に)ささくれがあればニッパーで切ってネイルオイルを塗ってあげます。ファンとの握手が大事な仕事なのに、手が荒れてるなんてありえないもんね。

 

スウェーデンでの結婚式はオールプロデュース

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Yuko Kawashima

2019年7月、結婚して約2年経って、スウェーデンで結婚式を挙げました。

私、最初は結婚式をしたくなかったの。1度目の結婚で式をしているし、「2回目だね」なんて言われるのも嫌だった。

ただ彼は初婚だし、結婚式を挙げたい、と。だったら、すべて私にプロデュースさせてほしいとお願いしました。私の方がコネクションがあるし、ちょっとアイデアがイケてるからね。 

あと、結婚式でご祝儀もらうのが嫌いだったんですよ。こっちが幸せなのにお金もらうなんて。だから、私たちの場合は結婚式の費用は全部自腹にしたの。

結婚式を挙げるにあたって一番の問題だったのは、晩婚かつ国際結婚だから、夫側の親族の長時間フライトが難しくて家族同士が会えないってこと。

そこで私が思いついたのは、日本のテレビの企画で(夫を)連れて行けばいいんじゃないかなってこと。企画を持ち込んだのは、『日立 世界ふしぎ発見!』(TBS系)でした。

『世界ふしぎ発見!』には、それまでもスウェーデンの企画をできないかと話していたんですが、なかなか叶わなかった。でも「私の結婚式の独占映像で、スウェーデン企画をやりませんか」って持ちかけたら、5分で通って!

結婚式の準備期間はそれから半年。泣きそうなぐらい大変でした。

テレビに映っていい教会や牧師さん、オルガニストをアテンドしたり、食事やお酒を発注したり、テーブルセッティングや子ども用のおもちゃ、何から何まで自分で準備しました。

男女平等の国であるスウェーデンっぽさを見せたかったから、牧師さんはあえて女性をキャスティング。

ヴィーガンやアレルギーの人も多いので、それぞれにメニューを用意したし、レストランと教会はALS(筋萎縮性側索硬化症)の友だちが車椅子で入れることも条件でした。

 

手作りの結婚式。が号泣したお父さんのスピーチ

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Yuko Kawashima

結婚式は、少人数制のアットホームなものでした。私のスウェーデンの家族はすごく少ないし、あとは数人の友だちとその子どもたちだけ。

司会は私が二カ国語でやって、私のお父さんのスピーチだけ番組の通訳の方が訳してもらいました。みんな一生懸命英語でコミュニケーションしてくれて、すごくうれしかったな。

スピーチでは、お父さんが彼に「会った瞬間から君を気に入った」って言ってくれて……。彼は大泣きしてましたよ。とってもいいスピーチだった。より父をより好きになった瞬間でした。

式を終えて、彼は「スーパー花嫁だね」って言ってくれた。最高の褒め言葉だなと思いましたね。

 

結婚式は何歳になって挙げてもいい 

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Yuko Kawashima

 

式が終わって、うれしかったことが2つありました。

一つは、彼が「スウェーデンは最高の国だ」って喜んでくれて、「なぜLiLiCoがこういう人なのか、やっとわかった」って言ってくれたこと。 

スウェーデンって夏が短いから、太陽が出ているとスウェーデン人はすごくよろこぶのね。そういう私の感覚が、実際に行ってみて理解できたんだって。 

もう一つは、晩婚や再婚の人たちが、「結婚式はしなくていいかなと思ってたけど、LiLiCoさんの結婚式を見て、やっぱり挙げようと思いました」みたいなメールをたくさんくれたこと。

自分たちの結婚によって、日本の常識に小さな風穴を開けられたならうれしいですよね。

だけど、私はそもそも「50歳近いんだから結婚式なんて」と言う人たちの方に問題があると思っているのよ。

結婚式は何歳になって挙げてもいいじゃない。ハッピーなことなんだから。

今の結婚で、私は家族の意味がようやくわかるようになったと思っています。

 

家族がふえた。家族はいつからでも作れる

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Yuko Kawashima

家族っていつからでも作れるんですよね。

私は彼の両親と仲がいいけど、特にお義母さんとはすっごく仲がいいんですよ。私は亡くなった母に対して「愛されたかった」ってずっと思ってきたから、いまとても満たされているの。

逆に彼の妹さんは、お姉さんがほしかったんだって。彼は私と結婚して初めてそれを知ったらしくて、理由を聞いたら「お下がりがほしいんだもん」って。かわいいでしょう? 

だからいま、好みに合いそうなお下がりを送っています。

小さいころは家族でいると気が休まらなくて地獄だったけど、いまは見える景色が全然違う。彼の家族と縁ができて、家族という言葉の意味、そして絆がわかるようになったんです。

私を温かく迎え入れてくれて、彼やその家族には感謝しています。

 

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LiLiCo/講談社

(取材・文:有馬ゆえ 写真:川しまゆうこ   編集:笹川かおり)