スウェーデンに帰れない夏は20年ぶり。 LiLiCoが考えるコロナ時代の「心の安らぎ」

好評連載 第11回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
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LiLiCoさん
Yuko Kawashima

「新しい生活様式」が求められるなか、いつもと違う夏休みを過ごすことになった人も少なくないのではないでしょうか。休暇についても新しいスタイルが求められています。

スウェーデンと日本、2つのアイデンティティーをもつLiLiCoさんも、今年はスウェーデンへの帰国を「諦めた」と話します。

世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんがホンネで語り尽くす本連載。今回は「新しいリラックス」がテーマです。

LiLiCoさんは今、リラックスのためにどんな工夫をしているのでしょうか。自粛疲れもあるなか、日々の疲れをリセットし、制限のある環境で「休み」を工夫するコツとは?

 

スウェーデンに帰れない夏は20年ぶり 

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Yuko Kawashima

新型コロナウイルスの影響を受けている今年の夏。「帰省できない」「旅行できない!」と嘆く声を聞こえてきます。

今年の夏休みは、たぶん日常の延長になるのでしょうね。私も、スウェーデンに帰れない夏は約20年ぶりです。  

本当は今年、夫と二人きりで帰るつもりだったんです。去年、スウェーデンで結婚式をしたときに、牧師さんから「結婚式を挙げた7月29日は、できるだけ毎年思い出として二人きりで過ごしなさい」と聞いて、もう一度二人で行こうと計画していたの。 

ただ、(行けなくなって)「くそ~!」とは思いません。もちろんお父さんとお母さんには会ってハグしたいけど、世界中のみんなが同じ状況だし、今のところ私たちの家族は健康だからね。

6月には、スウェーデンの家族とテレビ電話をつないで、リモートで夏至祭をお祝いしました。

私は、スウェーデンの地を踏めれば、パワーチャージできるんですよ。

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Yuko Kawashima

いつものスウェーデンでの楽しみは、別荘でボーッとすること!! 薪で炊いたサウナに入って、ビールを飲んで、すぐ目の前にある湖で泳いで、またサウナに入って、シャンパン飲んで、泳いで……。

姪っ子や友だちと会って遊んだり、おしゃべりしたりするのも楽しみのひとつ。 

スウェーデンに帰ると、子どものころの夏休みとまったく同じ解放感に包まれるんです。日本だと「仕事モード」になっちゃって休めない。スウェーデンに帰らないと、完全にリラックスはできないんですよ。

みんなも、自分の生まれ育った故郷に行ったら、そうなるんじゃない? 

ただ、今は安易な移動は控える時期。だったら、「実家に帰りたい」「旅行に行きたい」って考えるより、今いるところで心の安らぎを考えた方がいいと思います。

 

自分の家を、居心地の空間にするコツ

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Yuko Kawashima

「自宅に飽きた」「自宅で過ごす時間が増えてストレスがたまる」という話を聞くと、すごく残念。私は、そんなふうに一瞬たりとも思いません。なぜなら、自分が楽しくなれる家を作り上げているからです。

毎月、家賃を払って家に住んでいる人も多いですよね。なぜ多くの日本人は自宅を居心地のいい空間にする工夫をしないのかな?

家には、自分がテンションを上がる物しか置いちゃいけないんです。だって、自分の巣ですよ? カラスも自分の好きな枝を選びます。日本人は、勤勉でストレスをためやすい気質なんだから、余計に家は心が落ち着くものに囲まれないとダメ。 

自分の巣作りがもっと上手にできたら、家で過ごす夏休みもそんなに悪い時間にはならないと思います。

「うちは狭いから」「お金がないから」なんて言わないで。私は、狭いワンルームで一人暮らしをしていた時代も、安いもので工夫して部屋を自分好みに飾ってましたよ。100円ショップで買ったキャンドルや友だちからもらったかわいい雑貨も、部屋を彩ってくれました。

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Yuko Kawashima

例えば、1メートル200円の布だって、テーブルにかければテーブルクロスになります。生活感があるプラスチックの衣装ケースも、すてきな布で覆えばオシャレなクローゼットになります。 

生地専門店に行けば、カラフルでかわいい布がいっぱい売っています。「赤いチェックの布って、(ディズニーアニメ)『わんわん物語』でレディとトランプがミートボール食べるレストランっぽいな。あ、黄色いチェックはあの食器に合いそうだな」なんて迷うのも楽しい。 

家を飾るのは、かっこよく生きるためじゃない。心の安らぎを得るための一工夫。その一工夫で、幸福度が変わるんです。

 

生きるセンスがある人のリフレッシュ方法 

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Yuko Kawashima

例えば、ビーチや山登りに行くのも休みかもしれないけど、私は家のベランダでボーッとする時間も休みだと思っています。

今朝、ベランダでコーヒーを飲んだのが、今日の私の休み時間。

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ベランダで、お気に入りの木製カップにコーヒーを飲むのがお気に入り
本人提供

ちょっとした休み時間をうまく作るのが、日本のような忙しい国ではうまく生きる方法なんじゃないかな。外出がしにくい時期が続く今、1日1日、自分をどうリフレッシュさせるかは、とくに重要な課題になっていくと思います。

私は、仕事や家事をして過ごす1日のなかで、数分だけでもできることを考えるようにしています。お子さんがいるママやパパはすごく短くなっちゃうかもしれないけど、自分の時間はどこかで作れるといいですね。 

例えば、夕食の後、10分だけでもキャンドルに火をともして、お気に入りのグラスで好きな飲み物をのんびり飲むだけでも、1日のリセットになります。

1日の中に、少しだけでも自分が安らぐ時間を作れる人は、生きるセンスがあるってこと。自分の人生なんだから、自分を楽しませるプロになりましょう。

 

 

旅行できないときの「行った気になるディナー」

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Yuko Kawashima

外食できないことにストレスを感じる人もいるかもしれません。それなら、レストランからテイクアウトするのはどう? いつもは満席だったり、行きそびれていたりしたところで、テイクアウトしてみるのもいいですね。 

私も、近所のお気に入りのレストランから「テイクアウト始めたよ」と連絡があってからは、何度かお願いしています。

最近はいつも満席で気軽に入れなくなっていたけれど、「また美味しい料理が食べられる!」ってうれしくなっちゃった。2回目以降は、先にタッパーを持って行くようにしています。ゴミもお店への負担も減りますからね。

ほかにも、うちでは「行った気になるディナー」もよくしています。

例えば、私がアンバサダーを務める「伊豆稲取キンメマラソン」。今年は大会が中止になっちゃったから、名産の海産物が食べられない。

そこで、地元メーカーの通販サイトから金目鯛の煮付けやウナギご飯を取り寄せて、目と舌で土地を味わう“旅行気分ディナー”をしました! 私はワンピース、夫はシャツスタイルで、外食気分を楽しみましたよ。

別の日には、友だちの地元の秋田から送ってもらった稲庭うどんやいぶりがっこで秋田旅行をしたんです。 

テイクアウトや縁のある土地からお取り寄せをするのは、ただ食べて楽しむためだけじゃなくて、お店や土地に対して、少しでも経済的に応援したい気持ちがあるからです。

 

夫との時間が増えて発見したこと 

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Yuko Kawashima

私は、結婚してからも夫婦で仕事が忙しくて、家族の時間はあまりとれていませんでした。

だから、いま二人で過ごす時間が楽しいし、いろいろな発見があるんですよ。 

最近の私たちは、食事の時間はきちんと二人で向き合って、それ以外はおのおのの時間を過ごすというスタイル。

食事中はラジオや音楽を聴きつつ、ゆっくり会話を楽しみます。最近はSpotifyで曲をかけて、「この曲知ってる?」「この曲が流行った頃はこんな風に過ごしていて~」なんて話すのが好き。

それぞれの時間には、仕事や好きなことに没頭しています。私は、最近ハマッている料理の本を読んだり、ネットでスウェーデンのレシピを見たり、IKEA通販で食器を物色したり。

夫は「純烈」の仕事がずいぶんなくなってしまったから、もともと好きだったレゴやプラモデル作りはもちろん、最近はガーデニングやお風呂掃除にも夢中(笑)! 

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Yuko Kawashima

夫を見ていると、これまで家事を手伝わなかったんじゃなくて、忙しすぎて手伝う余力がなかったんだな、と感じます。彼は新しい日常を楽しんでいるんだな、って。

夫と過ごす時間が増えて、こんなことも考えるんだ、こんな発言もするんだ、と新しい発見があるんです。深く知ることができて「いい人じゃん」ってあらためて感じています。 

この夏、みんなはどんな楽しみ方で新しい日常を過ごすのかな?

仕事は休みにならないだろうけど、お掃除したり、オーブン料理やグリル料理をしたり、やりたいことはいっぱいあるの。朝早く、小鳥のさえずりとともにマスクをして散歩したり、観ていない映画を観たり、パズルやゲーム、紙粘土をしたり、絵を描いたり、編み物をしたり……。

アイデアはたくさん! あなたが心安らげる自宅時間が見つかりますように。

 

(取材・文:有馬ゆえ 写真:川しまゆうこ 編集:笹川かおり)