イギリスの公共放送BBCが、子ども向けチャンネルであるCBBCの番組で、イギリスのEU離脱を揶揄したとして、注目を集めている。動画を投稿したTwitter上では、賛否の意見が飛び交っている。
話題になっているのは、CBBCの人気番組「Horrible Histories(おそろしい歴史)」。学校で教わらない歴史の側面を、面白おかしく紹介するコメディー番組だ。イギリスがEUから離脱した1月31日に、CBBCの公式アカウントで動画をTwitterに投稿。日本時間の2月2日までに290万回以上再生されている。
動画は、「イギリスはヨーロッパを去る。行け、イギリス!」と男性が呼びかけて始まる。ヴィクトリア女王に扮した女性が、「イギリスのもの、イギリスのもの」と歌いながら、紅茶を頼み、砂糖を入れようとする。すると、サーブしようとしたバトラーの男性が「紅茶はイギリスのものではなく、インドから持ってきたものです」「砂糖はカリブ海から輸入されました」と矢継ぎ早に、「不都合な真実」を女王に告げる。
ヴィクトリア女王は、世界中に植民地支配を広げた大英帝国時代を象徴する存在として知られる。紅茶の紹介では、インド支配の過程で多数の犠牲があったことや、カリブ海での砂糖生産は奴隷労働があったことなどにも触れられている。
真実を告げられ、女王の表情はだんだんと険しくなってきたところで、「イギリスのものはたくさんあると思っていたけど、実はあまりない」と告げられる。
極めつけが、イギリス王室だ。バトラーから「女王も外国由来だ」と突きつけられると、女王もついに「それは正しい。私も外国の家系がある」「夫はドイツ人だ」と明かす。「少なくとも私はイギリスの名前を持つ」と女王が苦し紛れに言うと、男性は「ヴィクトリアはラテン語です」ととどめを刺す。
動画は「私たちの大好きなイギリスのものは他のどこかから来たようだ」と歌い上げ終わる。
Twitter上に投稿された動画は、290万回以上再生され、6000回以上リツイートされている。投稿には、「反イギリス的なプロパガンダ」「BBCが潰れるのを待ちきれない」と批判するコメントがつく一方で、「素晴らしいビデオだ。この国の真実と歴史を人々に教えてくれてありがとう」とするコメントもついている。