任天堂の超ビッグタイトル『あつまれ どうぶつの森』(以下”あつ森”)が3月20日に発売されました。発売から6日経った時点で総プレイ時間は27時間。つまり毎日およそ4時間半は遊んでいる状態です。毎日4時間半も同じことをするって、ありえますか?私は考えられない。Nintendo Switchの携帯性の良さを差っ引いても、異常事態です。しかもゲームの進行状況がめちゃ遅い、27時間も何やってんだ自分。
ということで、この記事では、私の日常に異常事態を引き起こしつつある「あつ森」をご紹介します。プレイする上で心がけていることは以下の3つ。
攻略記事は見ません
好きなことを好きなだけします
ゲーム機本体の時計の操作はしません
いわゆる「エンジョイ勢」です。このゲームのいいところは、ゆるゆる「エンジョイ勢」も、効率重視の「ガチ勢」もみんな楽しいところなんですよね。それぞれが「好きなことをして暮らす」だけです。マインクラフト的楽しさも満点。とにかくプレーヤーごとに美学を貫けるゲームです。
「元締のタヌキ」の言うことはとりあえず聞いておけ
まず、ゲームの概略と攻略について駆け足でまとめます。
どうぶつの森シリーズは、「どうぶつ」と「人間(プレイヤー)」が、魚を釣ったり虫を捕ったり、果物をかじったり物品を作ったりして、毎日のんびり過ごすゲームです。あなたなりのユートピアを実現しましょう。
今回の舞台は無人島。小さな島にどうぶつ2匹とともに入植し、生活を始めます。入植の手配はタヌキの”たぬきち”が行います。
このタヌキの言うことを聞いておけばゲームは進みますので、タヌキの勧めるがままマイホームを建て、借金をし、彼の経営戦略(なにかと安請け合いしがち)を横目に見ながら、積極的にタヌキの事業を手伝いましょう。
借金返済でヒーヒー言ってる人間に向かって、タヌキはよく物品を要求してきます。何の義理があって......とは思いますが、タヌキはこの島の元締め。「自分で作れば!?」という言葉はグッと飲み込み、タヌキに興味があってもなくても、彼の言うことを聞いておけば、世界は廻ります。
が、私の場合、丸二日ほどゲームの進行が止まりました。うっかりタヌキの事業計画をスルーしちゃってたんですよね。
「フータに会いに行くゲーム」になってしまった
では、私はタヌキを無視して、毎日何をしていたのか?
答えはフクロウの”フータ”です。
フータは、島で採取した虫や魚や化石を保管・展示する博物館を運営しています。旧シリーズでも登場しますが、本作のフータの力の入りようは凄まじいです。
まず、島にはたくさんの魚と虫が生息しています。
この博物館が壮大すぎて、島というか国家の威信をかけて建造したような場所です。フータはそんな荘厳な施設のヘッド。つまり、ちゃんと釣り合う人物なんですね。品位と知性がハンパないのです。
フータは、虫が苦手で、魚と化石が大好きです。それは言葉の端々から感じられます。でも、たとえ苦手な虫の話をしている時でさえ、なんか品がいいんです。
フータに興味がない人はスルーできる
ディテールの細かいものが美しく散らばっていると燃えるんですよね。なので有名オープンワールドゲーム「スカイリム」きってのエロ小説「本物のバレンジア」は全巻即コンプリートしました。
あつ森には無数の虫と魚がいますが、それらすべてに対し、フータは表情豊かに言葉を尽くすわけです。フータに命を吹き込んだ開発者、ほんとすごいなと思います。
私はもはや「お魚が欲しい」じゃなくて、「フータの驚く顔が見たい」一心で釣竿と網を持って島をウロついています。
新しい生物を捕まえるたびに即フータの元へ届け、すべて説明を聞いています。そんなことをやっているから27時間もかかっているわけです。
もちろん、そんな必要はなくて、フータが秘める膨大な量のセリフがどうでもいい人は説明を聞かなくても大丈夫。フータに興味のないプレイヤーは、フータのセリフを無視できます。なんて贅沢!このあたりのストレスのなさが素晴らしいです。
で、私はフータを選びました。タヌキも図鑑コンプもお花もどうでもいい。でもお花が咲いたら虫がくるし、虫を捕ったらフータがびっくりする。だから私はタヌキのお店で花の種を買い、花を育てています。
みんなの「自由」を楽しく演出する美しい音楽、快適な画面操作、日々移ろう季節の美しさ、そしてゲームの仕組み。すべてが贅沢です。だからエンジョイ勢も、ガチ勢も楽しめる懐の深いゲームなのだろうなと思います。少なくとも今後3年は遊び続けると思います。
(2020年3月27日Engadget 日本版「「あつまれ どうぶつの森」をエンジョイ勢目線でレビュー、今後3年は遊べる贅沢なゲーム」より転載)
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