妖怪「アマビエ」のクッキーとパンを販売。埼玉福祉事業協会「人気だけど...」

同協会は緊急事態宣言を受け、B型・生活介護の利用者が働くレストランなど4事業所を閉鎖。減収額は、年間授産収入の1割に当たる。
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アマビエパンを作る利用者
福祉新聞

さいたま市の社会福祉法人埼玉福祉事業協会(高橋清子理事長)は、疫病退散に御利益があると伝えられる半人半魚の妖怪「アマビエ」をモチーフにしたクッキーとパンの製造販売を始めた。

 

 障害児者関係10事業所を運営する同協会は、緊急事態宣言を受け、B型・生活介護の利用者が働くレストランなど4事業所を閉鎖。クッキーなどを製造する多機能型事業所「あかしあの森」と、毎日40種のパンを作る「ゆずり葉」も大きな影響を受けた。

 

 OEM(相手先ブランドによる生産)で受注した卒業式用の名入れクッキーはすべてキャンセルされ、ステーキチェーン店に納めるパンの注文も激減した。イベント販売やレンタルおしぼりの収入も減り、3月1日から5月20日までの減収額は、年間授産収入の1割に当たる1257万円にも上った。

 

 「このままでは工賃(B型4万7000円)も減り、せっかく通えるようになった強度行動障害の利用者の居場所もなくなり、在宅に戻ってしまう」。強い危機感を抱いた高橋理事長は、名入れクッキーの技術と、デザイン製作を通じて培った女子美術大学とのつながりを生かしてアマビエクッキーを製造。アマビエパンは元パン職人の職員がデザイン・工程を考えた。

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アマビエパンとクッキー
福祉新聞

クッキーは1週間に約1万枚(5枚入り250円)、パンは1日20~30個を製造。同協会が運営するコンビニや市内スーパーで販売する。クッキーは全国発送もしており、購入者には、生活介護の利用者が手書きした「早く雨(疫病)が晴れ、虹がかかりますように」などのメッセージとともに届けられる。

 

 「アマビエクッキーとパンはすぐ売り切れる人気だが、収入の穴埋めには遠く及ばない。利用者のためにできる限りのことをしたい」と高橋理事長は話している。