大手情報サービス会社ブルームバーグによると、最高経営責任者(CEO)と一般労働者の賃金格差は、1950年比で10倍拡大している。「Fortune500」に選出されている大企業のCEOは、2013年は平均で一般労働者の204倍の報酬を得ているが、この比率は2000年は120倍、1980年では42倍、1950年では20倍だった。
今年4月には、米国の多くの労働組合を統轄するAFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)が、S&P500企業におけるCEOの報酬は、会社従業員の平均賃金の354倍だと報告している(この割合は2002年には281倍、1982年には42倍だったという)。
米国で2010年に成立した米金融規制改革法には、上場会社に対して、CEOと一般労働者の賃金格差を公開することを要求する条項が盛り込まれている。CEOが従業員に比べてどれだけ多くの報酬を得ているかを一般の人が簡単に知ることができるようにすることを目的とするものだ。
しかし米ABCニュースによると、証券取引委員会は、この法律が通過して3年近くたった現在も、具体的なルール整備を行っていない。経済界からの反発などが原因だ。
この条項を立案した上院議員ロバート・メネンデス(民主党・ニュージャージー州)は、2012年にABCニュースで次のように述べている。「CEOに対して、一般的な従業員のおよそ400倍の給料を対して払っていることを公表するのは不名誉だと感じる会社もあるだろう」
高給を取るCEOが実績をあげられない場合もある。ブルームバーグの記事によると、米大手デパートチェーンJ.C.ペニーのCEOに就任していたロン・ジョンソン氏は、同社の一般労働者と比べて1795倍の賃金を得ていた(一般労働者の賃金は時給8.3ドル)が、経営難に苦しむ同社の収益改善に失敗し、4月8日(現地時間)に解任された。
[US版で2013年4月30日に掲載した記事を翻訳しました]
[Jillian Berman 日本語版:丸山佳伸、合原弘子/ガリレオ]
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