ここ何年か資産・備品や経費の処理がずさんな国立感染症研究所ですが、厚労省の科研費だけでなく文科省の科研費もあるかと思い調べてみると、そちらのほうも大変なことになっていました。
文科省の科研費の実績報告書の提出期限である5月31日までに報告書の提出ができず、8月18日に研究所の所長から支払い漏れがあったとの報告が出されました。
感染研から、支払い漏れがあったので科研費からの支払いをお願いしたいとの要請がありましたが、日本学術振興会は5月末が支払期限なのでそれ以降の支払いについては科研費からの支払いはできない旨、回答しました。
すると感染研からは、支払い漏れの分を個人あるいは事務部門等が支払いをした場合、論文等を科研費の成果にしてよいか、支払い漏れに関する処理について、日本学術振興会が何か関知する必要があるかなどの問い合わせが続きました。
どうも感染研はこの支払い漏れを事務部門の責任者にポケットマネーから支払わせようとしているようですが、それはおかしなことだと思います。
この問題については文科省に感染研の事務処理についてきちんと調査をしたうえで報告するようにお願いをしましたが、この問題を調べている中で、大きな問題を発見しました。
文科省、厚労省、環境省の科研費がそれぞれ、事務処理の仕方が違うのです。
文科省の科研費は、納品や役務の提供は3月末まで、支払いは5月末まで、報告書の提出は5月末まで。
厚労省の科研費は、支払いは3月末まで、報告書の提出は5月末まで。
環境省の研究総合推進補助金は、報告書の提出が「当該年度における研究事業を完了した日から起算して一月を経過した日又は補助金の交付の決定に係る会計年度の翌年度の4月10日のいずれか早い日」。
なぜ、こんなにルールが違うのかわかりません。まず、事務部門の効率化のためにも、こうしたルールの統一が必要ではないかと思います。
現在、霞が関の各省庁を調べてみると、さまざまなルールが微妙に違うということがよくあります。
併任を発令されている者が、退職・休職・育児休業した場合、併任を終了する日が、例えば退職の日と同じとする役所とその前日とする役所がある。
人事異動通知書の現官職欄に本務以外の併任官職を記載する役所と記載しない役所がある。
俸給の変更を伴わない人事異動発令であっても、俸給発令を行う役所と行わない役所がある。
それぞれの役所のやり方を、人事給与システムに反映しろという要求が各役所から出されているのですが、それはルールをまず統一して、システムに載せなければなりません。
こうした霞が関のルールも行革の対象です。
(2014年9月12日の「ごまめの歯ぎしり」より転載)