7月29日未明、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、排他的経済水域(EEZ)内に落下したと内閣官房が発表した。北朝鮮の朝鮮中央通信は同日朝、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の第2次試験を実施し、成功したと発表。北朝鮮によるICBM発射は4日に次ぎ、2度目になる。
岸田文雄外相兼防衛相は29日未明の臨時会見で、「さらなる挑発行動の可能性は十分考えられる。引き続き重大な関心を持って情報収集・分析に努め、米国や韓国とも緊密に連携しながら、高度の警戒態勢を維持する」と述べ、危機感をあらわにした。
ICBMとは、いったいどんなミサイルなのか。
北朝鮮の弾道ミサイルの射程 出典:防衛省ホームページ
ICBMは、Intercontinental ballistic missileの略語で、「大陸間弾道ミサイル」と訳す。弾道ミサイルのうち、射程距離が5500キロ以上のものを呼ぶ。
5500キロという規定は、かつて核大国として対立していたアメリカとソ連(今のロシアなど)が、核兵器の削減交渉をした際に決められた。アメリカ北東部とソ連北西部を結んだ距離を基準にしたという。ICBMの射程は通常、8000キロから1万キロ程度になる。
ICBMには核弾頭などが搭載され、はるか遠方の目標を攻撃するための運搬手段としての役割を果たす。
発射場所は、陸上基地や車両、海中の潜水艦がある。車両や潜水艦は移動できるため、衛星などによって発射を察知されることを免れるメリットがある。
北朝鮮が7月4日、発射に成功したと発表した弾道ミサイルと運搬車両。朝鮮中央通信が配信した
ICBMは複数のロケットによって推進力を得て、ロケットエンジンを切り離しながらいったん宇宙空間(地表より100キロ上空)に飛び出す。
ロケットの燃料終了までは誘導ができるが、その後は弾頭だけが慣性によって飛行。高度1500キロ程度にまで達した後、地上に向けて落下し、大気圏に再突入して目標に向かう。
アメリカはICBMなどの弾道ミサイルを迎撃するシステムの開発を進めているが、大気圏への再突入時には速度が音速の何倍にもなることから、技術的な課題が多い。
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