「美味しんぼと“三国鼎立”」第3回です。
できましたら、私の立場・背景・考え方に目を通していただけるとありがたいです。
2013年8月5〜7日、板橋民主党の議員でいわき市・南相馬市・喜多方市の視察に赴きました。
仮設住宅に住まう住民に向きあい、被災者同士の断絶に悩み、除染に取り組み、風評被害解消に尽力する、福島の基礎自治体の姿を見てきました。
そうした、前代未聞の困難に立ち向かう自治体議員や自治体職員、そして地元住民の姿を見てきた私としては、
こんなドヤ顔の暴言を認めるわけにはいきません。
(だから「福島」ってどこなんだよ)
今回は、いわき市・南相馬市・喜多方市のWebサイトやいただいた資料とともに、放射線に関するこれら自治体の取り組みをご紹介します。
■ぜんぶ見せます! いわき市
まず、いわき市のサイトから見てみましょう。
トップページの「原子力関連情報」は、「モニタリング結果・除染関連」「健康管理関連」「安全対策」「風評の払拭」「原子力損害賠償関連」「もっと知りたい放射能」と充実しています。
「いわき市放射線量マップ」では、いわき市が独自に測定した市内各所の放射線測定結果が閲覧できます。
モニタリングポストやリアルタイム線量測定システム以外にも、市の職員が出向いての計測をやっているということですね。
またいわき市では、役所横断的組織「見える課」を立ち上げ、「いわき見える化プロジェクト」を推進しています。
いわき市は、2011年10月1日、市内の農業者ら約1000人が一か所に集まって「見せます!いわき」とプロジェクト開始を宣言するテレビCMを皮切りに「いわき農作物見える化プロジェクト”見せます!いわき”」を実施してきました。一方的に安全を語るのではなく、食の安全・安心を消費者自らに判断してもらおうと、このサイトを通じて農作物や農地、水道水、大気中の放射線量等を公表してきました。また、いわきの農家のリアルな声も、動画でお伝えしてきました。
そして2年目。私たちは、市役所内に横断的なプロジェクト組織「見せる課」を発足しました。農産物だけでなく、水産物や観光まで「見せます!」の対象範囲を拡大して、いわき市の魅力や、復興への取り組み、放射性物質の検査結果、がんばる市民の姿などについてお伝えしていきます。
いわき市の除染は「いわき市除染実施計画」に基づいて進められています。
局所的に高めの線量が出るところや、子どもが生活する公共施設については優先的に除染し、長期的には年間の追加被ばく線量を1mSv未満にすることを全体目標としています。
除染の実績は、環境省の「除染情報サイト」で見ることができます。
公共施設の除染は進んでいるようですが、民間住宅については計画数に対して発注数が約15%、実績数が約9%と、まだまだこれからですね。
■境界の分断、仮置き場の確保…苦闘する南相馬市
南相馬市は旧警戒区域を抱えており、大変苦労している自治体です。
トップページには「復興の状況」「被ばく(内部・外部)検査」「放射線に関する講演会」「除染の状況」「放射線モニタリング」「住民帰還の状況」「児童生徒・園児数の推移」「避難先変更の連絡」といった情報が並びます。
南相馬市の除染の状況については、視察の際にいただいた資料が大変わかりやすいので、ぜひこれをご覧いただきたいと思います。
南相馬市における除染の困難な点は「境界の分断」です。
南相馬市は北から鹿島区・原町区・小高区と3つの行政区があるのですが、これがちょうど、小高区は福島第一原発から20km圏内(旧警戒区域)、原町区は20km〜30km圏(避難準備区域)、鹿島区が30km圏外ときれいに分かれてしまい、区界で除染の財源や保障内容が変わるということになってしまいました。
これらの区はもともとは「鹿島町」「原町市」「小高町」の3つの自治体であり、平成の大合併によってそれらが合併して南相馬市が誕生しているので、住民感情が複雑になるわけです。
除染についていうと、旧警戒区域である小高区だけは国が除染を行い、原町区と鹿島区は南相馬市が行うこととなっています。
問題なのは、国がやる除染では特別手当1万円が出るため、作業員がそちらに流れてしまうことです。「線量はどちらもそれほど変わらないのに…」と担当職員は悩んでおられました。
環境省の井上信治副大臣に市長が強く要望しているが、なかなか変わらない、とのことです。(2013/8/6時点)
もうひとつ代表的な問題を紹介すると、除染後に出る放射性廃棄物を詰めた袋を置いておく「仮置き場」の確保がなかなか難しいということです。
やはり、空間線量に影響が出るのではないか、と住民に思われてしまうわけですね。実際に測って見せて問題ないことを示したり、ご苦労が多いようです。
さらに、「仮」と言っておきながら、そこにずっと置きっぱなしになるのではないか…という疑念もなかなか払拭できないそうです。国は中間貯蔵施設を3年後に設置するとしていますが、まったく市民から信用されてないそうです。
南相馬市小高区の仮置き場のひとつです。
なんで冷蔵庫が一緒に積み上がってるのかはよくわかりません^^;
ここはかなり広いほうですが、南相馬市内には、放射性廃棄物を詰めた「黒い袋」を集めた仮置き場が随所にあります。
南相馬市や浪江町をご案内していただいた、竹野光雄・南相馬市議会議員です。
大変詳しくご案内いただき、また震災や放射能被害にまつわるお話をたくさん聞かせていただきました。
この仮置き場のすぐ横で線量を測ったら、0.08μSv/hでした。
小高区で仮置き場の横で0.08??
もちろん除染された結果だと思いますが、それにしても予想外に低い数値で驚きました。
様々な困難はあるものの、除染の効果自体については「やればほとんどの場合、線量は下がる」と自信を持っていらっしゃいました。
高倉地区の住宅玄関前109箇所の平均では、除染前が1.08μSv/h、除染後が0.55μSv/hということで、49.1%減とのことです。
「スケジュールは大幅に遅れているが、なんとか進めたい」とおっしゃっていました。
■問題ゼロ! 来てくなんしょ喜多方市
喜多方市もホームページから見てみましょう。
んー…なんかあっさりしていますね^^;
放射線測定値情報のバナーもあんまり目立ちません。
市役所前の測定値はだいたい0.07μSv/h弱。東京と変わりません。
2013/8/7に視察に訪れた際にいただいたパンフレットもご紹介します。
空間線量、水道水、土壌、米、野菜、牛肉に豚肉。すべて問題なし。
しかし、震災直後は風評被害に苦しみました。
震災前は年間1万人来ていたグリーンツーリズムが、一時期まったくのゼロになってしまったそうです。
パンフレット中の図にこんなものがあります。
喜多方市は福島第一原発から100km以上離れてますよ、と示すものです。
仙台市や米沢市、日立市と同じくらい原発から遠いのに、人為的に引いたにすぎない「県境」で一括りにされてしまうわけですね…。
とにかく喜多方市は問題ゼロ!
ラーメンと太極拳のまち・喜多方に、ぜひ来てくなんしょ^^
(2014年5月22日「中妻じょうたブログ」より転載)