PRESENTED BY AQUA SOCIAL FES!!

焼きそばの売り上げで、二酸化炭素の排出権利を「買う」。大学生たちが動き出した

東北工業大学工学部環境の髙橋未来さんは、研究の傍ら、あるサークルを立ち上げた。
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最終講義が終わった薄暗い大学キャンパスを歩き回る。日々そんな活動をしているサークルがある。東北工業大学(仙台市)の環境サークル「たんぽぽ」だ。誰もいない教室の蛍光灯を消して環境負荷を低減させる。これが活動の目的だという。

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環境サークル「たんぽぽ」代表 髙橋未来さん

代表の髙橋未来(みく)さんは同大工学部環境エネルギー学科の3年生。環境問題に関心をもったきっかけは、小学生のときに参加した環境問題がテーマのミュージカル公演だった。以降、環境問題に漠然とした関心を抱き、現在に至る。研究のため生態系や気候などを広く学び、フィールドワークも頻繁に行う。座学はもちろん、キャンパス内や近隣住宅地での植物の観察、調査では汗を流す......そんな学生生活を送っている。

研究以外の時間もサークル活動を通して環境問題に向き合う。サークルの設立は2012年。東北工業大学は2008年に、環境に関する国際的な標準規格ISO14001の取得しており、その取得・更新のサポートに加わった学生グループ"ISOサポーター"から「たんぽぽ」が立ち上がった

活動は地道なものだ。キャンパス内の消灯活動、月に1回は大学近隣地区でゴミ拾いを行い、キャンパス内にはペットボトルのキャップの回収箱を設置。リサイクルの売り上げの一部を世界の子供たちへのワクチン購入代に充てる「エコキャップ運動」に参加するためだ。

「たんぽぽのメンバーは50人。私たちの活動は、ゴミ拾いを始めエネルギーを要することが多いです。体力面はもちろん、仲間の思いをまとめて活動をけん引していくことは難しいこともありますが、達成感のほうが大きいです。それに教室を出て、実際に活動することで地球環境に対する考えも深くなります」と髙橋さんは語る。

たんぽぽは、仙台の夏の風物詩である「仙台七夕まつり」にも参加した。そこでは、二酸化炭素排出を何らかの方法で埋め合わせし、実質ゼロに近づける取り組みである「カーボンオフセット」の仕組みを紹介したという。

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仙台七夕まつりでのブースの様子

それ以外にも、大学の学園祭では焼きそばを売る屋台を出店。売上金は二酸化炭素の排出権の買い取りに充てた。つまり、焼きそばを作る過程でできた二酸化炭素の排出権利を、売上金で「購入」したのだ。多くの人は、日常において無意識に二酸化炭素を出している。しかし、この積み重ねによって地球温暖化が進んでいるのだ。髙橋さんたちの取り組みは、「排出する権利を買う」ことによって、低炭素化社会に対して、自覚的になろうという意志表示でもある。この取り組みによって、たんぽぽは、環境省などが後援する「第4回カーボンオフセット大賞」で奨励賞することになった。また2014年度には同大の課外活動優秀者表彰も受けた。

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「たんぽぽ」メンバー集合

現在、彼女たちは他大学の環境サークルとの共同活動など外部との連携を強化したいと考えているそうだ。そこで髙橋さんは2014年春にトヨタのハイブリッドカー「AQUA」が全国各地で展開する環境保全活動のAQUA SOCIAL FES!!に参加した。学生だけでなく、子供から年配の方まで広い層の参加者と一緒に水辺の美化活動した経験は新鮮で、このような取り組みの裾野の広さとその可能性を実感したそうだ。大学を卒業してからの進路は、これからじっくり考えるという。「地道に活動を進めていきます」と笑顔で話したくれた。

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昨年のAQUA SOCIAL FES!!の様子

今年のAQUA SOCIAL FES!!は、「たんぽぽ」も参加して仙台市宮城野区蒲生地区の干潟と砂浜をきれいにする「蒲生干潟&クリーンプロジェクト」を開催する。東日本大震災で甚大な被害を受けて、多くの住民が立ち退きを与儀なくされた同地区。海岸に流れ着くゴミを広い、干潟と砂浜の自然の豊かさをあらためて学びましょう。開催日は6月13日(土)。詳細は公式ホームページをご覧ください。

(取材・執筆:河北新報社 松本純一)

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