世は乱世。戦国時代だと思って店舗運営をしたらこうなった

僕は、本店や競合店などの外ばかりを見ており、自分の店のことを考えているようでまったく考えていませんでした。自分たちの武器、得意な戦い方、どうやって売上を上げていくかなどの「おのれを知り足元を固めること」を怠っていました。これに気づけてから、外を見るのではなく、店が繁盛することを真剣に考えれるようになり、奇策に効果がでてくるようになったのだと思います。
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こんにちは。砂流です。第3回目のテーマは「僕の恥ずかしい失敗」です。

前回は、僕が秋葉原でパソコンショップの店長代理をしていた時の「常識外れなゲリラ戦で売上が上がった」話をさせていただきました。最後に失敗事例として「バッキバキなテクノが大音量でかかっていて、店員が話しかけてこないクラブスタイル」などをご紹介したところ、もっと失敗事例を聞きたいというリクエストをいただきましたのでお話させていただきます。

たくさんの失敗の中から、今回は赤面するレベルの恥ずかしい失敗話です。さっそく本題に入りたいのですが、その前に僕が小売や店舗運営をどう考えていたのかを説明させてください。僕には店舗運営や小売について教えてくれた師匠がいます。その師匠の名言に「小売は戦国時代だ。知略・計略・謀略あらゆるものを使って戦に勝たなければならない」というものがあります。カッコ良くないですか? 僕はこの言葉にとても感銘を受けて「店舗=城」「店長代理=一国の主」だと思って店を運営していました。

僕がいた店は大きな店舗ではなかったので言ってみれば弱小勢力です。その上、新規のお客様を獲得することが命題だったので奇策を使わないといけなかった・・・というのは前回お話しました。弱小勢力が戦に勝つためにはゲリラ戦が多くなりますし、効果のあった施策については前回お話した通りです。僕は小売を戦国時代だと考えることで「勝機や時流を見つけたら全力でその場所を取りに行く」「セールを仕掛けるときは人がどう反応するかを予測する」など、ゲリラPRで大切にしている考えの方の基礎を学びました。

前置きが長くなりましたが、ここからが失敗の話です。今の僕を知っている方からは想像しにくいかも知れませんが、秋葉原で働いていた時の僕は、なにかあるとすぐ怒ってしまういわゆる「キレキャラ」でした。広島県出身という土地柄か、尖っていることがカッコいいと思っていたのかもしれません。

僕が秋葉原のパソコンショップで働いていたのは22~24歳くらい。若さを武器に突進することしかしていませんでした。そんなすぐキレてしまう僕と、小売を戦国時代だと思っていた僕が合わさるとこうなります。「キレやすい人間が小売を戦国時代だと思って店舗運営をしていた」。どうですか?失敗の匂いしかしてきませんよね・・・。ということで僕の恥ずかしい失敗をご紹介させていただきます。

僕の恥ずかしい失敗

・姉妹店舗とタイムセールで徹底的に交戦する

・競合はもちろん競合でもない近隣店舗にまで戦を仕掛ける

・本社とケンカする

言葉にしただけでやっちゃダメだろというのがわかります。特に説明は必要ないかもしれませんが1つだけ説明させていただきます。

■姉妹店舗とタイムセールで徹底的に交戦する

秋葉原には2店舗姉妹店があり、うち1店舗が本店で、歩いて5分ほどの距離にありました。平日の夕方や週末になると本店に斥候を出し、本店がタイムセールをおこなっているとすぐにこちらも同じ商品でタイムセールをおこない徹底的に対抗していました。時には「本店より安い値段でタイムセールしています!」と叫んで集客していたこともあります。不毛ですね。本店と同価格か安くないと売れないと本気で思っていたんだと思います。 

同じく、競合が送料無料や同性能で同価格帯のパソコンをセールしていた場合は、ケンカを売られていると思い徹底的についていっていました。また、お客様のためというより、競合潰しのために仕掛けることも多かったです・・・。

お恥ずかしい内容で申し訳ありません。こんな感じで、目に見えるものすべてが敵に見えており、敵だと思えばケンカを売るか突撃をしていました。「戦国時代だから戦をしなければいけない!」と間違った固定観念を持っていたんだと思います。

しかも、頭で考えることをせずに「相手が仕掛けてきたから仕掛け返す」というような、刺激に対して反射的に動いただけの戦だったので連戦連敗でした。何度も敗れたことで、「反射的な行動ではなく、一度頭で受けとめてから行動しなければならない」という当たり前のことを学んだのと(これのおかげでキレキャラではなくなれました)、1つ大事なことに気づけました。それは、「戦を仕掛ける前におのれを知る」ことです。

僕は、本店や競合店などの外ばかりを見ており、自分の店のことを考えているようでまったく考えていませんでした。自分たちの武器、得意な戦い方、どうやって売上を上げていくかなどの「おのれを知り足元を固めること」を怠っていました。これに気づけてから、外を見るのではなく、店が繁盛することを真剣に考えれるようになり、奇策に効果がでてくるようになったのだと思います。 

この経験は今でも大切にしており、PRを組み立てる時は競合の情報や色々なニュースにふりまわされることなく、自分たちが持っているものをしっかり理解したうえで組み立てられるように意識しています。

いかがでしたでしょうか?ゲリラPRに興味があってこの連載を読んでくださっている方には、2回にわたる店舗の話でお待たせしているかもしれません。次回はいよいよゲリラPRについて触れていきます。次回も宜しくお願いいたします。

■おまけ

前回のブログで、売上が上がった施策として「パソコンに詳しい人間ではなく詳しくない人間に接客をさせる」をご紹介しましたが、「なぜその施策で売上がなぜあがったのかわからない」というご質問をいただきましたので回答させていただきます。

当時の秋葉原はメイド喫茶ブーム絶頂に加えて、ヨドバシカメラが秋葉原に店舗を出した頃で、観光がてらパソコンを買いに来る「パソコンに詳しくない方」が増えていた時期でした。

そういった方々に接客をしていると、専門用語で接客する店員に苦手意識を持っている方が多く、不満を漏らしていました。こういうお話を何度か聞いているうちに、「同じ目線で、相手にわかる言葉で接客ができる人間」が必要だと思い、パソコンに詳しくはないけれどコミュニケーションが得意な人間に接客をさせることにしました。

その結果、売上が上がりました。僕も、パソコンは詳しくないけどゲームは好きという方には「ドラクエの呪文で例えると、このパソコンがメラだったら、こちらはメラゾーマくらい強力です」というような接客をしていました。これは少し極端な例かもしれませんが、同じ目線で相手にわかる言葉で説明することは、PRでいろいろな方に製品を説明する際にも役立っています。