2011年、インドで現地の子供たちを教えていたアメリカ人の教師ケイシー・オールレッド氏は、彼が運営していた学校から、週を追うごとに少女たちがいなくなっていることに気付いた。教師たちが原因を探るために少女たちの自宅を訪問したが、原因はわからないままだった。
しかし、ある日オールレッド氏はついに真実を知った。そして「その日のことは一生忘れられない」と、オールレッド氏は語っている。「地元の弁護士が、行方不明になった少女たちの親が、娘を探すために彼のところに毎日やって来ると話してくれました。いなくなった少女たちは人身売買され、性風俗関連のビジネスに売られているということでした」
インドでは法律が曖昧で、貧困層の公民権が守られていない。そのためインドは人身売買の中心地となっており、8分に1人子供がいなくなっているとも推定されている。その半数近くは行方不明のままであり、インド政府によるとそういった子供たちの数は50万人にもなるという。
人身売買された子供たちには厳しい生活が待っている。インド国内で奴隷にされ、休憩もできない環境で強制労働をさせられる子供もいるが、これはまだいい方だ。多くの子供たち、特に少女たちは売春をさせられている。
この現実に大きなショックを受けたオールレッド氏は、人身売買を撲滅するための活動を始めた。彼は映画監督のクリス・デービス氏とともに、少女たちが働かされている売春街や売春宿を訪ねその様子を撮影。それをドキュメンタリー映画にしてインド政府に現状を変えるよう、圧力をかけようとしている。
ドキュメンタリーのタイトルは『ストールン・イノセンス』(失われた純潔)。撮影資金は、オールレッド氏がクラウドファンディングのKickstarterで集めた。
ドキュメンタリー映画『ストールン・イノセンス』の1シーン。「朝、気がついたら裸でした。一体何が起こったのか分かりませんでした」と語る少女
現在撮影チームは、インドやネパール、バングラデシュで「目立たないような秘密調査」をして、人身売買の温床となっているインド西岸のゴアビーチやコルカタにある売春宿を撮影している。オールレッド氏によると、これまでに売春宿の斡旋業者や、人身売買の犠牲になった女性など、「影の業界」に生きる人々にもインタビューしたという。
この映画は、人身売買を撲滅する活動をしている人たちでさえも知らない売春の現状に光を当てるかもしれない。下の動画は、映画を紹介している。また撮影の最新状況は、撮影チームのブログで知ることができる。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:湯本牧子/ガリレオ]
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