「ジョブズ氏らが30年前に埋めたタイムカプセル」開梱

1983年、当時28歳だった故スティーブ・ジョブズ氏は、コロラド州アスペンで開催された「International Design Conference」(IDC)カンファレンスで、テクノロジー関連の講演を行った。そしてその講演のあとで、タイム・カプセルの作成に参加した。

1983年、当時28歳だった故スティーブ・ジョブズ氏は、コロラド州アスペンで開催された「International Design Conference」(IDC)カンファレンスで、テクノロジー関連の講演を行った。そしてその講演のあとで、タイム・カプセルの作成に参加した。

「Aspen Time Tube」と名付けられたこのタイム・カプセルは、IDCカンファレンスを主催したアスペン研究所所有の土地のどこかに埋められた。しかしこの土地は、数年後にアスペン音楽祭の所有となり、カプセルの場所を示す標識のいくつかがなくなってしまった。

タイム・カプセルは2000年に掘り出されるはずだったのだが、アスペン一帯の風景が大きく変わってしまったため、その後13年間所在がわからなくなった。そこで、ナショナルジオグラフィックチャンネルのテレビ番組「Diggers」の出番となった。

発掘は、このカプセルを最初に埋めたグループの1人である建築家のハリー・テーグ氏と、Diggersの考古学者マイケル・ダーキン氏をリーダーとして行われた。そして9月19日(米国時間)、座標値と「昔ながらの計算手法」を使って、カプセルの場所がついに特定された、とプレス・リリースには書かれている

「われわれがカプセルを埋めたのは、『The Future Is Not What It Used to Be』(未来は、かつてのような世界ではない)と題された1983年のIDCカンファレンスのときで、予定では20年後に掘り出すことになっていた。それが30年後になってようやく掘り出すことになるとは、思いもよらなかった」とテーグ氏は説明する。「中に入っていた品々が文化的、歴史的に重要なものであることは間違いないが、スティーブ・ジョブズが最後の最後に投げ入れた、新品のアップル製コンピューター『Lisa』のマウスは、最も象徴的な品にちがいない」

全長約4メートルの「カプセル」の中からは、アップル社が初めて大衆市場向けに売り出したコンピューターであるLisaのマウスのほか、パズルの「ルービックキューブ」や、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド「ムーディー・ブルース」を録音した8トラックテープ、ファッション雑誌「VOGUE」の1983年6月号、それに、カプセルを掘り出して中を開けた人をねぎらうために、「Ballantine」のビールの6本入りケースが入っていた。

タイム・カプセルを埋めたIDCカンファレンスでジョブズ氏が話した講演は、YouTubeで聞くことができる。このなかで同氏は、「iPad」の初期のビジョンをすでに示している。

「われわれは、靴を入れる箱くらいのサイズの中に(コンピューターを)入れ、2500ドルで売ることになるだろう。そして最終的には、その大きさは本のサイズになるだろう」とジョブズ氏は語っている。

発掘の様子を紹介する番組は、2014年のはじめに放映される予定だ。

[Andrea Rael(English) 日本語版:佐藤卓/ガリレオ]