政治的な理由や人種などを理由で他国に逃れた難民の「旅」について知ってほしいー。
そんな思いから、難民の実態や、支援の現状を紹介するイベントが6月22日、東京スカイツリーの足元で開かれた。
■地球5万周の旅
住み家を追われ、安全な場所を求めて移動を余儀なくされる人は年々増えていて、7080万人は統計を取り始めた約70年前から最悪の数字。
紛争や迫害から身を逃れるための移動距離も膨大で、UNHCRによると、2016年の1年間だけで20億キロメートルに達する。
現実感のない数字だが、地球5万周分に相当し、地球と月の間ならば2500回ほど往復できる計算になる。
■気の遠くなる「旅」に思いを
UNHCRのイベントは、この気の遠くなりそうな難民たちの「旅」に思いを馳せてもらおうと開かれた。
難民の旅を追体験できるような工夫がなされたスタンプラリーに参加することができ、参加者は、南スーダンの小さな村で暮らす架空の少女「ベティ」になりきる。
6歳の彼女は、家族ととも故郷を追われ、ウガンダへの逃避行へ身を投じることになる。
スカイツリー敷地内に設けられた6か所のポイントを回りながらスタンプを集めていくと、難民たちが実際に体験した「旅」のエピソードを知ることができる。
ゴール地点となるイベント会場にたどり着くと、待っているのは難民支援の現場で使われるテントだ。
2017年に開発されたもので、難民キャンプに投入するための最終的な試験を行なっている最新型だ。
5人家族が最低でも1年間暮らせる設計で、風や温度の変化にも強く、実際にテントに入って、難民たちの暮らしを想像できる。
UNHCRは難民たちの20億キロメートルを、世界の人たちで歩いてみるキャンペーンを実施しているが、スタンプラリーをクリアするとそこに1キロ分を追加できる。追加すると、参加者に代わって協力企業がUNHCRに100円を寄付する仕組みになっていて、栄養補助食品の購入などに充てられる(6月30日まで)。
■日本人も「自分ごと」として考えて
国連UNHCR協会、広報・渉外チームの鈴木夕子さんによると、難民の8割以上が開発途上国に逃がれているという。
鈴木さんは、日本に暮らす人たちも、この問題に目を向ける必要があると話す。
比較的貧しい国が、難民の受け入れ負担を強いられている。先進国でも一緒に分かちあおう、という考えもあります。
日本でも一度、国を追われた人について考えてほしいです。
今回のイベントではそれを実感しやすいようにしてみました。
難民の現状や、UNHCR自体の知名度も十分ではない。
鈴木さんは、今回のイベントが、その状況を変えるきっかけの一つになってほしいと考えている。
『難民の状況はこうなんだな』って知っていただくのが狙いですし、知ることが出来てよかったと思っていただきたいです。
一回知ると、UNHCRがSNSで何かを発信した時に、それを見てアクションに繋がるかもしれない。ぜひ、難民を巡る問題を自分ごととして考えてほしいと思います。