アメリカ人たちの薬物使用は、ここ数十年で劇的に変わってきている。タバコやアルコール、鎮痛剤まで含めた、広い意味での「薬物使用」の変化がわかるインフォグラフィック地図を9つ紹介しよう。
1. 喫煙は急激に減少した。
1970年から2012年の、単位人口あたりのシガレット販売(単位は箱)。全体平均で見ると、全盛期には138.3だったものが、現在は51.4と半分以下になっている。
2. アルコールの消費も減少した。
Note: The National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism converts alcohol beverages into gallons of ethanol (pure alcohol) to compare between types of drinks
1977年から2012年の、単位人口(14歳以上)あたりのアルコール消費量(純アルコール換算、単位はガロン)。データは、アメリカ国立衛生研究所(NIH)に付属する国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)
3. ただし、ワインの消費は増えている。
右下のグラフでは、ビールとハードリカー、ワインの消費変化を比較している。
4. マリファナ(大麻)使用者は、北東部と西海岸沿いに多い
12歳以上の人々における、マリファナ(大麻)使用者の率。色が最も濃い地域で13.99~17.51%。
5. 飲酒よりも薬物の使用が原因で死亡する数が、2000年頃から増え始めた。
「飲酒が原因の死亡」と「薬物が原因で死亡」を、各州について人口10万人あたりで比較。紫色は飲酒原因が多い州、赤色は薬物原因が多い州。黄色は同数。
6. 問題は、特に北東部で、鎮痛剤やヘロインなどの使用が増加したことだ。
(Map shows the drug most commonly cited in drug treatment admissions in each state)
上の地図では、薬物中毒の治療対象となった薬物で最も多く挙げられるものを州別に示している。緑色はマリファナ、オレンジ色はアヘン類縁物質、赤色はヘロイン(アヘンに含まれるモルヒネから作られる麻薬)、黄色は覚醒剤だ。
アメリカでは、鎮痛剤や睡眠剤など処方薬の中毒になる例が増えており、過剰摂取による死亡数も上昇している。死亡原因の内訳は、鎮痛剤に使われるオピオイド系薬物の関与が最多。鎮静催眠剤であるベンゾジアゼピン系薬物が第2位、3位に抗うつ薬が続く)。
7. 薬物中毒死が多いところは…
2006年から2010年、人口10万人あたりのオピオイド系薬物(アヘン類縁物質)とヘロインを含む薬物中毒死。最も濃い色は、12人以上。
8. 中西部では、覚醒剤の密造と売買の問題が深刻だ。
9. 薬物の過剰摂取で死亡するケースは、支援者免責等を定めていない州で急増している。
Infographic by Alissa Scheller for The Huffington Post.
地図は、薬物のオーバードース(過剰摂取)による死亡率の増加を表したもの(1999年から2010年)。法整備が行われていない州では、3~4倍増えている場合もあることがわかる。
なお、地図上の枠で囲まれた州は、「善きサマリア人の法」(Good Samaritan doctrine)が制定されているところ。これは、急病人などを救うために無償で善意の行動をとった場合、たとえ失敗しても結果責任を問われないという法で、手当てした者が、万一の過失の際の訴訟を気にすることなく処置を施せるようにする仕組みだ。斜線の州は、ナロキソン(アヘンやモルヒネに対して効果を持つ麻薬拮抗剤)へのアクセスを拡大許可している州。
この記事は最初にハフポストUS版に掲載されたものです。
[日本語版:ガリレオ]
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