「スタバは暴利を貪っている」と中国メディアが非難、しかし価格上昇の理由は中国の複雑な「流通コスト」だった!?

「スタバは暴利を貪っている」と、中国の多数のメディアが大手コーヒーチェーンのスターバックスを批判している。しかし、価格上昇の原因は、中国の複雑な「流通コスト」という見方もあるようだ。
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A logo sits on display in a window of a Starbucks Corp. store in Amsterdam, Netherlands, on Monday, Sept. 16, 2013. Global coffee supplies will outpace demand for a second year in the 2013-14 season that starts in October in most countries because of ample availability of arabica, according to Volcafe Ltd. Photographer: Jasper Juinen/Bloomberg via Getty Images
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「スタバは暴利を貪っている」と、中国の多数のメディアが大手コーヒーチェーンのスターバックスを批判している。47NEWSが伝えた。

米大手コーヒーチェーンのスターバックスが中国でのコーヒー価格を海外より高く設定し「暴利をむさぼっている」と中国メディアが非難している。複数の中国紙が報じたのに続き、20日には国営中央テレビも批判する特集を繰り返し伝えた。

(47NEWS「中国「スタバが暴利」と非難 国営メディアも報道」より。 2013/10/20 16:01)

中国メディアは、スターバックスで販売されている商品がアメリカやイギリスなどの価格より高いとこぞってバッシング。その批判は、コーヒーだけでなく、マグカップの値段にも及んでいる。

スターバックスは、グランデラテの価格を27元($4.42ドル)と変更したが、これは、アメリカの店舗ではわずか3ドルある。上海のビジネス紙が14日に報じている。

さらに、マグカップにおいても、中国で製造されているにも関わらず、アメリカの店舗より中国で売られている価格のほうが高いという。アメリカでは10.90ドルだが、中国では16.36ドルもする。

(グローバル・タイムズ「Starbucks defends high prices in China」より。 2013/10/14 23:43:01)

チャイナ・デイリーは、スターバックスが中国で高い値段を設定している理由を「インフラ投資」や「物流コスト上昇」と書いている。

スターバックス側は、中国市場はアメリカに比べてまだ店舗が少なく、開発初期の段階であり、この時期にはインフラ整備に多くの投資が必要であると説明。流通などでコストがかかっているとした。しかし、スターバックスは、コストに関するデータを提供することを控えた。

(China DAYLY「Starbucks can’t justify high prices in China」より。 2013/10/15 09:11)

アメリカのオピニオン雑誌・アトランティックは、物流コストが上がる原因を次のように報じている。

価格を押し上げているのは流通である。スターバックスが北京の店舗で醸造するコーヒー豆も、マグカップのような他のマテリアルと同じように、アメリカと中国を比べても大した輸入コストにはならない。問題は国内の輸送だ。

「コロンビアから天津までのコーヒー豆の輸送コストと、コロンビアからロサンゼルスへの輸送コストはだいたい同じだ」中国ビジネスの専門家であるDavid Wolf氏はそう話す。「天津の港から北京の店への輸送コストが高いんだ」

港湾と交通インフラを改善するために、中国はこの数年にわたって数十億ドルを投資してきた。しかし、税金やサービス料金、中央官僚などの複雑な組み合わせが、輸送コストを押し上げ、フラペチーノやラテの料金に上乗せされて、消費者に回ってくる。

(アトランティック「Why Is Starbucks So Expensive in China?」より。 2013/09/06 12:25)

スターバックスが7月に発表した2013年度第3四半期決算では、中国とアジアにおける既存店売上高が9%増えており、スターバックスは今後ますます、アジアへの店舗を増やすとみられる。

「われわれの最大の好機がアジアにあるのは明らかだ」と同氏(スターバックスのハワード・シュルツCEO)は言う。今のところ、中国と日本のそれぞれに1000店舗、インドに16店舗、ベトナムに1店舗が展開しているが、シュルツ氏は中国にさらに1000店舗出店したいと思っている。

「われわれが初めて中国に進出してから10年以上になる。最も嬉しいのは、当初の客の大半が観光客や在住外国人だったのに対し、今ではほとんどが中国人になっていることだ」

(ウォール・ストリート・ジャーナル「ドライブスルーからワインやケールまで―CEOが語るスタバの未来」より。 2013/09/30 16:11)

しかし今回のように中国全体でバッシングが起きることは、スターバックスの中国における出店計画にも、影響をあたえることになりそうだ。サウスチャイナ・モーニング・ポストは「中国国営メディアの、アップルの次のターゲットはスターバックス?」という記事で、上海のコンサルタント・James Button氏の話を次のように報じている。

「目立つ外国企業が、中国当局に目をつけられることは珍しいことではありません。アップルや、ウォールマート、カルフールでも同様のことがありました。

中国では、化粧品や、コンピューター、自動車は、国際的な価格より30%から100%のプレミアムが上乗せされています。スターバックスはおそらく20%程度でしょう。これは間違いなく、中国消費者にとって許容の範疇でしょう。中国の消費者は、スターバックスは単なる商品ではなく、体験と映るようです。

(サウスチャイナ・モーニング・ポスト「After Apple, is Starbucks Chinese state media’s next target?」より。)

スターバックスは中国の逆風にどう対処するのか。同社の今後の動きは、中国進出を見据える日本企業にとっても、見逃せない。

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