作品は酷評も多いけれど、祭りは凄いスターウォーズ

世界中がスターウォーズで盛り上がっています。日本でも、スターウォーズ祭りが盛り上がり、またスターウォーズ消費が巻き起こっているようです。

世界中がスターウォーズで盛り上がっています。とくに日本は、日本とは縁もゆかりもないはずのハロウィーンが一大イベントとなったのと同じようにスターウォーズ祭りが盛り上がり、またスターウォーズ消費が巻き起こっているようです。しかし作品そのものには、ネットでは酷評も結構見られます。典型的にはこちら。

たしかに12月21日付けのYahoo!「先週公開作品の評価ランキング」を見ると他の作品と比べ、評価件数がおよそ1,700と圧倒的ですが、評価のほうは3.75で必ずしも高いとはいえません。個別にチラチラと評価を見ると、絶賛と酷評がまっぷたつにわかれている感じがします。

作品としては、成功していなくとも、2Dから4DXまで、手を替え品を替え、さまざまな楽しみ方を提供し、メディアを総動員。また事前にスターウォーズ展を各地で巡回開催しています。たまたま札幌に行ったときに、札幌芸術の森美術館で観たのですが、この作品に向けた動員にむけた周到な地ならしと物量作戦には目を瞠るものがありました

その結果として、祭りに火がついたということでしょう。映画の作品的価値がどうのこうのというよりは、その祭りに参加し、体験することの価値が第一で、映画はその祭りの構成要素としては重要であっても、そのひとつにすぎなくなります。

スターウォーズは、エンターテインメントに人びとが求めはじめている参加と体験価値を、映画をコアとして、巨大な祭りで実現しようとしているのでしょう。

聴くだけの音楽は、音楽配信が伸び、いくらでも聴けるので、ますます音楽コンテンツひとつひとつの価値が低下してきています。結果として、ライブ売上が、CDなどのメディア売上を上回ってきています。それは、聴く価値よりも、参加し、体験し、場と感動を共有する価値のほうが上回ってきたからでしょう。

映画も、動画配信が伸びてくると、やがては観るだけの価値は低下し、もっと異なる特別な価値を提供することが求められてきているのでしょう。

その解が、スターウォーズのような大掛かりな祭りづくりだとすると、そんな仕掛けはそうそうできるものではなく、もっと異なる切り口もでてくることを期待したいものです。

とはいえ、作品の評価が低空飛行に終わると、祭りも興ざめとなってしまいます。あと1カ月もすればその結果が見えてきそうです。

(2015年12月20日「大西 宏のマーケティング・エッセンス」より転載)

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